友部正人より 
友部さんからのお便りのご紹介です。

1月1日(月)「お正月」

年末に風邪をひいてしまったユミは、寝正月でした。
 僕は駅伝を見たりして、のんびりしてます。
 丹波篠山の一会庵というお蕎麦屋の藤田さんから送られてきた黒豆を、
年末にユミが一日かけて煮て、それが一番のごちそうでした。
 黒豆の甘さはあきない甘さ、やわらかいお肉のような噛み心地。
 時間をかけて育てたような感じです。  

1月2日(火)「初詣」

息子の一穂が平塚に住んでいるので、みんなで平塚八幡宮に初詣に行きました。
 大きな鳥居をくぐるときに、ちゃんとおじぎをしてその下をくぐるのが礼儀なのか、
 外国人もちゃんとやっていたので、まねしてみました。ぼくもユミもこういうことには
 無知だったのですが、意外に自然にできました。
 初詣の後は、近くのららぽーとで閉館まで食べたり買い物をしたりして過ごしました。  

1月4日(木)「ドルフィー」

板橋文夫さんとの約2年ぶりのライブ。
 今回はベースの瀬尾高志さんと3人で演奏しました。
 たぶん「SKY」だと思うけど、一部が終わった後の楽屋で、板橋さんが
 「思わぬフレーズが弾けておもしろい」と言っていました。
 板橋さんがいろんな人とセッションするのは、そういう発見があるからなのでしょう。
 2部の板橋さんと瀬尾さんのデュオの後、瀬尾さんと「弟の墓」を二人で演奏しました。
 板橋さんとは初めてやる新曲「ニューヨークの憂鬱」「ブルース」の後は「一本道」
 「遠来」で終了。アンコールは「夕日は昇る」と「夕暮れ」でした。
 セッションが命のようなジャズの世界、板橋さんと瀬尾さんの演奏中の反応の確かさに、
 歌いながらも感心させられました。これはロックバンドにはあまりないことです。
 長く一緒に暮らした夫婦のように、相手のことがわかってしまうのですね。
 ライブのあとは、見に来てくれた七尾旅人くんと絵描きの広田稔さんとユミとで
 お蕎麦やてんぷらを食べに行きました。  

1月7日(日)「世の中グラデーション」

ぼくもユミも風邪です。ユミは回復の途上で、ぼくは逆に悪くなっていくところ。
 そんな体調で昨日仙台にやって来ました。今回は工藤夏海さんの個展を見るためです。
 今日はさっそく仙台のギャラリーTurnaroundに行きました。
 夏海さんはYumboのホルン奏者でもあるし、人形劇団ポンコレラもやっているし、
 普段は喫茶店ホルンで仕事をしています。
 「世の中グラデーション」はそんな夏海さんの創造的日常が全開の展覧会でした。
 ギャラリーで偶然会った細馬宏通さんから、今夜火星の庭で夏海さんが人形劇を
 することを知り、ぼくとユミはメディアテークの図書館で時間をつぶしてから、
 6時に火星の庭に行くことにしました。
 火星の庭でのイベントは、Yumboのパーカッションの山路さんが企画したもので、
 人形劇はそのプログラムの一つでした。
 こんな風に今日は、ぼくとユミにとってまるで予測がつかない展開の一日で、
 長い外出でしたが結果的におもしろかった。

1月13日(土)「吉田省念バンドとリハーサル」

14日の拾得のライブのために、一日早く京都に来て、
 吉田省念くんのスタジオで、彼のバンドとリハーサルをしました。
 彼らと一緒に演奏するのは昨夏の京都レコード祭りの時以来です。
 スタジオは美術家だった彼のお父さんが建てた建物の一階にあって、山の上
 なので街よりは寒い。アラジンの石油ストーブで温まりながら練習しました。 

1月14日(日)「拾得」

吉田省念くんがマンスリーでやっている拾得のライブのゲストでした。
 省念くんのバンドが前半に演奏して、後半はそこにぼくが加わって、ぼくの歌を
 7曲一緒に演奏しました。
 彼らの演奏には癖がなく、さわがしい演奏にもどこか静かなところがあって、
 それがぼくの歌にはとてもよく合っていました。
 アンコールではぼくが一曲ソロで「マリーナとウーライ」をやって、
 最後に省念くんとふたりで「大道芸人」を代わりばんこに歌いました。 

1月15日(月)「・・・」

寒波が来ていて雪も舞ったりして寒かった京都ですが、今日はもう横浜に帰ります。
 寒いのでホテルのある四条烏丸のあたりを毎日ユミとうろうろしただけですが、
 ぼくは昨日念願の中古レコード屋「100000t」に行けてうれしかった。
 
今月は楽しいライブばかりですが、21日と23日は「スリーキングズ」です。
 鮎川誠と三宅伸治と三人でいろんな歌をたっぷり歌うという、去年の京都「磔磔」
 のアンコール公演です。ぜひ吉祥寺か名古屋に見に来てください。 

1月21日(日)「スリーキングズ 吉祥寺・スターパインズカフェ」

今夜の鮎川誠、三宅伸治、友部正人の三人のライブは、去年8月京都「磔磔」での、
 三宅伸治企画によるライブのアンコール。
 今日はいきなり最初から「ライク・ア・ローリングストーン」「Just Your Fool」
 「戦死」を三人で。そのあとぼくと鮎川くんで二曲一緒にやり、次にぼくと三宅くんで
 三宅くんの「今夜あたり」やぼくの曲を一緒に4曲。
 二部では鮎川くんが三宅くんと二人で3曲やって、続いて三人でクライマックスへ。
「Love In Vain」「一本道」「レモンティー」「ぼくは君を探しに来たんだ」。
 アンコールは「You May Dream」と「夕日は昇る」。タイトルの響きは似ているけれど、
 全然違うタイプの曲。「You May Dream」はやみつきになりそうな曲です。 

1月23日(火)「スリーキングズ 名古屋・得三」

曲目と曲順は吉祥寺と全く同じでしたが、二日目ということで、当然のようにテンションは
 はるかに高かった。鮎川くんが本来の自分に戻ったように楽しそうだったのがぼくにも
 三宅くんにも伝わってきました。
 得三は前半分だけ椅子席で、残りは立ち見状態。だけど最後は前の人たちも立ったから、
 全員でスタンディングでした。
 ライブの後に鮎川くんから、実はスリーキングズというブルースのアルバムが昔あった、
 という話を聞きました。そしたら三宅くんが得三のレコード棚からそれを見つけてきて、
 それはもうボロボロになっていて、得三さすがだなあ、とぼくは感心しました。 

1月24日(水)「高山 ピースランド」

名古屋駅で横浜に帰るユミと別れてぼくは高山へ。
 名古屋から高山に向かう特急電車は大雪の予報ですべて運休していたけど、
 高速バスは普通に走っていて、雪にはバスの方が強いんだなと思いました。
 途中の渋滞のせいで高山到着は1時間45分遅れましたが、なんとかライブの
 開演時間に間に合いました。
 ピースランドは今年で30年になるそうです。おめでとう。
 今のお店の一番奥には土蔵があってライブはそこでやるのですが、今夜は土蔵の手前の
 喫茶室まで人でいっぱいでした。大雪なのに大勢来てくれてうれしかった。
 子供の本屋なのに、熱燗が飲みたい気分になる店でもあります 

 1月28日(日)「伊東卓写真展」

昨日から仙台に来ています。今日は友人の卓くんの個展の最終日。
 内装の仕事をしている卓くんは、人の住まなくなった家や部屋をたくさん見てきています。
 人の住まなくなった部屋は、自然に還るのだそうです。ぼくには卓くんの写真は、
 人の住まなくなった部屋のレントゲン写真に見えました。 

1月30日(火)「映画会」

仲間内で、プロジェクターを使った大きな画面で映画会をしました。会場は火星の庭です。
 ユミが持っていったのはスティーブン・キング原作(ドロレス・クレイボーン)の「黙秘」、
 そしてホルンの渋谷さんはロバート・ミッチャム主演の「不屈の男」というロデオの映画。
 内輪だけの映画会はとても楽しくて、ぼくとユミは久しぶりに朝帰りでした。 

1月31日(水)「句会」

月例の句会が火星の庭でありました。
 俳句を作るのは面白いけど、点を得るのはむずかしい。
 ぼくは好き勝手にやるしかないと思っています。このところ。 

2月1日(木)「再び映画会」またもや火星の庭で映画会をしました。

 またもや火星の庭で映画会をしました。今夜はユミが用意したアニエス・ヴァルダの「幸福」と、ホルンの渋谷さんの
 「エドワールとキャロリーヌ」。
 一昨日と同じようにまったく傾向の違う映画ですが、映画はどちら向きでも面白いです。
 こうやって持ち寄りで映画会をすると、思わぬ映画に出会えるのが素晴らしい。
 ユミはこのところ映画会のためにDVDやブルーレイのソフトをあれこれ買っています。 

2月4日(日)「番組収録」

フジテレビの湾岸スタジオで、オンディマンドの音楽番組「PARK」の収録をしました。
 スタジオにお客さんはいないけれど、ライブ風に約30分、5曲ソロで演奏しました。
 そのあとインタビューも収録。
 これはインターネットで有料で見られるそうで、詳細が分かり次第またお知らせします。 

2月8日(木)「冬の青森紀行」

横浜のギャラリーミロに、Atelier 21の3人とゲスト二人による展覧会を見に行きました。
去年12月に青森の竜飛岬を訪れたときの作品展です。全部描き下ろしなのでこういった
展覧会はおもしろい。しかも一人一人に味があります。冬になるとどこか寒い地方に行き、
こうして作品を描いて発表しています。 

2月9日(金)「高松オリーブホール」

高松にてソロのライブをしました。
オープニングにとてもギターのうまい若い人が出て歌いました。
今年は本来のステージは使わずに、張り出しのようなものをこしらえてその上をステージに
してありました。客席が近くなっていい考えだったと思います。
 1月14日のライブで吉田省念くんから借りた楽器用のマイクをあとで自分用に買ったのですが、
 今日は初めて最初から最後までそのマイクをギターに使って歌いました。
 PAの人が上手にギターに取り付けてくれたので、安心してギターを弾くことができました。
 歌の合間にはボーカル用マイクから離れて弾くこともできるのでおもしろいです。

2月10日(土)「高知 シャララ」

今日も昨日と同じようにギターにマイクを取り付けて弾いたのですが、
「高音が少しきんきんして気になった」と今日のPAの人は言っていました。
使い始めなので、マイクのことばかり気になります。
何回かぼくの声がひっくり返ったので、オープニングで歌ってくれた浜田くんが「声が疲れてる」
と言っていました。ぼくとしては、そんなに気にならなかったけど。少し疲れた声の方が
スピード感があるような気がします。 

2月13日(火)「鴨鍋」

もう長い間ぼくたちは、秋田の小松さんという農家から無農薬の玄米を買っています。
 夏に田んぼの草取りをしてくれた合鴨を一羽、肉と骨に分けて冷凍して12月に送ってくれます。
 今夜はその骨でとった鴨のスープと肉で鍋を食べました。
 下の階に住む画家の広田夫妻も一緒に。
 得三のスリーキングズのライブビデオを見たりしていたら、2時近くになっていました。
 真夜中に大音量で聞いていたので、隣近所にちょっと心配。

 

2月16日(金)「トランプのアメリカとブルース」

BankArt Studio NYKの池田さんからの誘いで、アメリカのブルースに関する講座を受けました。
講師は鈴木啓志さん。
ブラインド・レモン・ジェファーソン、ライトニング・ホプキンス、ブラインド・ウィリー・マクテル、
チャーリー・パットンらの音源を聞きながらの、ブルースのビートやリズム、歌詞の話。
よく知っているブルースミュージシャンばかりでしたが、改めてブルースが新鮮に思えました。 

2月24日(土)「敦賀 ル・サンオンズ」

長い間敦賀には歌いに来ていませんでした。
駅の感じが変わっていたので、何回も来ていたのに見慣れない街の印象でしたが、
少し街の中に入るとすぐに思い出しました。
ル・サンオンズは元ひつじカンパニーの南さんの家族のフランス料理店です。
南さんの長男が料理長で、ライブの後にごちそうになった料理はどれもおいしかった。
リハーサルのときに「ニューヨークシティマラソンに捧げる」を弾いていたら、
PAの人から「乾杯」を歌っていた人ですかと聞かれて、前にユミにも「乾杯」みたい、
と言われたことがあって、どちらもトーキングの曲だしギターの弾き方が似ているんだな
と思いました。 

2月25日(日)「金沢 じょーの箱」

敦賀の時計屋さんの田代夫妻の車で、山の方にある「孫べえ」というそばやに行きました。
松尾芭蕉が表紙の文字を書いた手書きの本があるそうです。
金沢のジョーハウスの新しい場所の「じょーの箱」でライブをしました。
木造りなので、そのせいか音がきれいでした。
2月の大雪のせいで、3週間前までは今日のライブの予約がゼロだったそうですが、
その後はすぐにソールドアウトになりました。今年の金沢は雪で大変だったそうです。 

 

3月3日(土) 「山形 肘折国際音楽祭」 

今年で3年目になる音楽祭。全部で8組が出演しました。
ぼくはステージの背景の雪景色がだんだんと暗くなる時刻に歌いました。
今年の肘折の積雪については天気予報などで知っている人も多いでしょうが、
3月に入ってもまだ3メートル以上の雪が残っていました。
今年はユミもやって来て、昨日から肘折温泉やコンサートを堪能していました。
今年はyumbo以外は全員ソロアーティストばかりで、とても聞き応えがあったし、
お客さんの数も増えて来て、秘境の温泉町でのコンサートはこれからも続くような感じです。 

3月4日(日)「青森 もぐらや」

古書らせん堂の三浦さんが主催してくれて、もぐらやというお店でライブをしました。
30人ぐらいで一杯の小さなお店なので、今夜は最後までマイクを使わずにやりました。
お客さんも聞きやすかったそうですが、ぼくも演奏しやすかった。
いいライブだったと思います。 

3月5日(月)「弘前 アサイラム」

久しぶりのアサイラム、昨日にならって今日もマイクを使いませんでした。
こじんまりとした場所ではこの方が自由でいいと思います。
朝から降り続いた雪が相当積もったにも拘らず、吹雪の中聞きに来てくれた人たち、
どうもありがとう。

3月7日(水)「映画会」

一か月ぶりの映画会。 
今夜ユミが持参したのは「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で、ホルンの渋谷さんは 
「第七天国」。新しい映画と古い映画、いつもながら対照的なおすすめ作品です。 
映画のいろいろなおもしろさが味わえる。見終わった後おしゃべりしたりするので、
また夜更かしをしてしまいました。 

3月10日(土)「谷川俊太郎展」

初台のオペラシティに谷川俊太郎展をユミと見に行きました。
ぼくは前に福岡でこれと同じような展覧会を見たことがあって、今回のはその拡大版と
いったところ。Tシャツなどは手ではさわれないけど、目や耳で谷川さんの魅力に触れられます。
展示の中には、1975年に阿佐ヶ谷でユミが撮った谷川さんとぼくの小さい写真もありました。
 
そのあとショップで細馬宏通さんに遭遇。この間は仙台のギャラリーでばったり会ったので、
細馬さんとはこれからもまたどこかでばったり会うことでしょう。
せっかくなので、細馬さんとたまたま一緒だったシーモアグラスの坂本さんも一緒にみんなで
オペラシティの地下で中華料理を食べてから帰りました。
もうひとつびっくりしたのは今日の昼にホールでDivaのライブがあって、俊太郎さんや賢作くんや
恵さん、ナナロク社の村井さんや川口さんもオペラシティにいたことです。
時間がずれたので結局みんなには会えなかったのだけれど、いろいろ偶然の重なった日でした。

3月15日(木)「大阪 Janus」

このジャニスはギリシャ神話から付けた名前だそうで、ジャニス・ジョプリンとは
何の関係もないそうです。まあスペルが違うのですが 
前日にジャニスのドキュメンタリー映画を見たばかりだったので、お店の人に名前の 
由来を聞きました。
今日は前半「もう春だね」など古い曲も結構歌いました。後半はアルバム未収録の 
最近の歌を中心に歌いました。  

3月16日(金)「京都 磔磔」

京都では約1年ぶりのソロのライブでした。
 大阪もそうでしたが、ギターがいい音だとやる気がでます。最近使い始めたギター用の
 マイク(DPA)のおかげです。
 初期のアルバムからの曲は早めに切り上げて、今日はわりと最近の曲が多かったと思うけれど、
 久しぶりに「こわれてしまった一日」や「夕日は昇る」も歌いました。 

3月17日(土)「レコード屋めぐり」

去年の京都レコードまつりでお世話になった「100000tレコード」やその上階の「Workshop」、
 「Tower Records」なんかをユミとめぐってから夕方横浜に帰りました。
 行く先々で何か買っていたら却って荷物が増えてしまった。特にマーティン・スコセッシ監修の
 ブルースのDVD8枚セットはかさばりましたが、すごくうれしい。 

3月21日(水)「時々自動 リハリハ5」

時々自動の公演を見るのは何年ぶりかなので、その分とてもなつかしかった。
 リハリハシリーズは来年横浜のKAATでやる本公演のためのリハーサルだそうで、
 今回は横浜のSTスポットというスタジオで二日間やりました。 
リハーサルだから、演奏もセリフもダンスも出演者たちの持ち寄りだと言っていました。
主宰のビビは雑誌の編集者という立場だとか。来年の本公演が今から楽しみです。 

3月28日(水)「PARK」

フジTVの音楽番組「PARK」の配信が明日の夜8時から始まります。
この中でぼくは30分のライブ演奏と15分のトークをしています。
演奏している曲目は「彼女はストーリーを育てる暖かい木」「From Brooklyn」
「マオリの女」「はじめぼくはひとりだった」「ぼくは君を探しに来たんだ」の5曲。
スタジオでのソロでの生演奏の収録は初めて。
トークも割といいなと思いました。自分で言うのも変ですが。
 
番組は、パソコン、タブレット、スマートフォンで見ることが出来ます。(月額888円・税抜)
 
FODオリジナル音楽番組『PARK』
3月29日(木)20時00分から最新作を配信
http://park.mu/(『PARK』公式サイト)
http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/music/ser0130/(FOD『PARK』配信ページ

 

3月29日(木)「さよならBankART NYK」

浜の海岸通りにあるBankART NYKが3月31日に終了、移転します。
日本郵船の巨大な倉庫でのアートの様々な試みはぼくとユミも応援していたし、
レコーディングやライブで何度もお世話になったので、今日は二人でパーソナルに
お別れをしに行ってきました。
たまたまカフェではぼくの「クレーン」のアルバムが流れていました。
2年前に七尾旅人くん、オオノユウキくんとライブをしたKAWAMATA HALLの内部の
パレットはすっかり撤去されて元の倉庫の姿になっていました。
長い付き合いのバンカートですが、今後のバンカートの動きに注目していきます。 

3月30日(金)「札幌 キノカフェ」

松竹谷清くんをゲストに1年ぶりにキノカフェでライブをしました。
カフェは映画館シアターキノの中にあって、人が集まりやすい場所なのか、
去年に引き続きSold out。休憩を入れて2時間半の二人のライブでした。 
今回は主催の木下さんからのリクエストもあって、1976年に札幌で初めて松竹谷清くんと
セッションした「びっこのポーの最後」もやりました。その時清くんはまだ十代。
長い時間がたちました。
 
映画館の事務所で仕事をしていたオーナーの中島洋さんも、耳に飛び込んでくる音楽に 
我慢できなくなって、ときどき覗きに来てくれたのがうれしかった。 

3月31日(土)「旭川 アーリータイムズ」

3年ぶりのアーリータイムズでした。でも、二十数年歌いに来続けている店です。
札幌に比べたらさすがに寒い旭川でした。でも街を歩いている人たちは薄着で、
もう冬は終わりという感じがしました。
今夜は満月でスーパームーン。リクエストがあって「月の光」を歌いました。
レンガ作りの古い建物アーリータイムズの真上で、満月は酔っ払いたちを祝福するように
輝いていました 

4月1日(日)「小樽 ぐるぐる」

今日は札幌も小樽も雨でした。
旭川から札幌に戻り、主催の木下さんの車で小樽に向かいました。
リハーサルを終えたあと、途中のレコード屋で木下さんが買ったオーティス・クレイの
日本ライブを聞きました。本当にうまい歌い手です。
今夜は雨でしたが、リクエストがあって「月の光」を歌いました。リクエストの多い曲。 
ツアーの最終日なので、打ち上げで小樽の地酒を飲みました。
小樽は昔から変わらず本州からの若い移住者の途絶えない町で、今夜はそんな小樽のために 
新曲の「船長坂」を歌いました。 

 

4月6日(金)「広島 ヲルガン座」

羽田から広島空港に。強風で着陸をやりなおしたのは初めての体験。 
ヲルガン座は4、5年前に来たときと同じ雰囲気で、ステージの正面には
天井の低い二階席があります。
数日前にヲルガン座の料理シェフから、ぼくの好きな食べ物を質問されていて、
今日はそれに沿って創作料理がお客さんに出されました。
アンコールではリクエストにも応え、ツアー一日目を盛りだくさんに終了しました。
オーナーのゴトウイズミさんは自分も歌手なのに、ライブのPAをやってくれました。 

4月7日(土)「倉吉 吉祥院」

吉祥院でのライブは今回で3回目。前回が真冬でかなり寒かったので今回4月にしたのですが、 
予定外の寒波にみんなびっくり。前半は上着を着たまま歌いました。
お寺の本堂なので音も良く、前の方のお客さんは座布団に座り、後ろのお客さんは椅子に
座って寒いながらも暖かく盛り上げてくれました。
吉祥院の若い住職さんは、お経も歌です、と言っていました。

4月8日(日)「加古川 チャッツワース」

風が冷たい加古川の路上で大音量で歌っている人たちがいました。
その歌声が収まった頃に始まったチャッツワースでのぼくのライブは13回目です。
チャッツワースは暖炉でもあったら似合いそうなお店です。 
暖炉の薪の炎となって、今夜は静かに歌えればと思いました。 
目に見えないものが見えて暖かくなれるような歌。そんな歌が歌えればいいな。  

4月15日(日)「スターパインズカフェ リクエスト大会」

1年か2年ごとにやっているリクエスト大会が終わりました。 
リクエスト曲の書かれた紙をくじのようにぼくが箱から一枚ずつひいて歌うのですが、
思わぬ曲があったりして、ぼくが自分で曲順を考えるよりもはるかにおもしろい。
今までのリクエスト大会だと、「にんじん」など初期のアルバムからのリクエストが 
多かったのに、後で箱を見たら今日は最近のここ10年ぐらいのアルバムからの曲が目立ちました。
それが今回のうれしいことでした。
リクエストされて歌った曲を順番にあげておきます。
  
<1部>月の光/ぼくは君を探しに来たんだ/かわりにおれは目を閉じてるよ/愛について/遠来/
 
日暮れの子供たちの手をひいて/君が欲しい/船長坂/ランブリング・ジャック/なんでもない日には
  
<2部>大阪へやって来た/旅のスケッチ/つばめ/弟の墓/水門/夜は言葉/悲しみの紙/どうして旅に出なかったんだ/
 
彼女はストーリーを育てる暖かい木/夕日は昇る
  
<アンコール>にんじん/イタリアの月/ふあ先生/Bring It On Home To Me
  

4月19日(木)「函館 港の庵」 

函館には素敵な建物がたくさんありますが、今回ライブをした場所もその一つでしょう。
 ライブを聞きに来た人たちは小皿に用意されたいろいろな食べ物を食べながらライブを
 聞いてくれました。
 去年のライブに来てくれた人も多く、主催の太田さんを通してリクエストもライブ前に
 いくつかもらっていました。その中には最近はあまり歌っていなかった歌もあって、
 そういった歌を歌うのはぼくにも刺激になりました。
 桜がとっくに散った横浜から来て、開花までまだ4、5日はかかるとテレビのニュースを聞くのも
 おもしろいことです。 

4月20日(金)「盛岡 紅茶の店しゅん」

「クラムボン」の店主高橋さんが病気の治療中なので、今回は前に何回かライブをしたことが
 ある「紅茶の店しゅん」でやることにしました。
 「クラムボン」はコーヒー、「しゅん」は紅茶の店で、どちらもカレーがとてもおいしいです。
 チラシやポスターのデザインはうえむられいさんが、「くじゃくのジャック」をモチーフに、
 くじゃくの足跡をあしらったものを作ってくれました。くじゃくの足跡ってどんなだろう、と
 いろいろ調べたけどなかなか見つからなかったそうです。
 盛岡の桜はこの日満開でした。街がいつもよりにぎわっていたのは、たぶんそのせいだろうな
 と思いました。 

4月22日(日)「パレード」

盛岡から昨日仙台にやってきました。ユミは横浜から到着。 
今日はフィギュアスケートの羽生結弦さんのパレードが仙台であって、ユミや句会のメンバーと
一緒に見に行きました。
今までニューヨークでいろんなパレードを見たことがあるけれど、たった一人の人がほんの 
数分間で通り過ぎるのは初めてで、珍しいことです。 
彼が目の前を通り過ぎるその一瞬は、観客にとっては本物の出会いなんだと思います。 
パレードの後、路上にはゴミが一つも落ちていなかったと仙台市は大喜びでしたが、ぼくたちが
拾って持ち帰ったのは実はゴミではなく喜びなのでした。 

4月23日(月)「句会」

先月は横浜にいて参加できなかったので、ぼくたちには2か月ぶりの句会参加でした。
 でも句会に参加するには俳句を三句提出しなくてはならないので、毎回句会の前日は
 ぼくもユミも夜遅くまでかかりっきりになります。
 句会の当日は提出してしまった後なので、毎回とても楽しいです。 

4月26日(木)「本吉法印神楽会」

南三陸町志津川の保呂羽山山頂で春祭りのお神楽がありました。
 ホルンの夏海さんに誘われて、前野さんの車に乗ってぼくたちもでかけました。
 山のふもとに車をおいてそこから徒歩で30分ぐらい山道を登るのですが、向かう途中
 車で道を間違えたりして山に到着するのが遅れ、5つの演目のうちぼくらが
 見られたのは最後の2つだけだったけど、間に合ってほんとによかった。
 神楽は神話を元にしていて、笛や太鼓の演奏に合わせて舞い、その合間に
 舞い手がセリフを発します。間近で見たのですごい迫力でした。
 
神楽の後は山を下りて、夏海さんの実家の上山神社の中を見せてもらったり、
 実家のすぐ前のさんさん商店街でキラキラ丼を食べたりして仙台に戻りました。
 神楽を見て目が洗われたのか、帰り道の海や川の景色がすばらしく美しかった。
 志津川はとてもいいところでした。

 

4月28日(土)「Book Book Sendai」

毎月28日に開かれる新寺こみち市に古書市「Book Book Sendai」が合体して開かれました。 
暑い日で、会場にビールがあればきっと売れたでしょう。 
いろんな古書店が参加していて、いい本にもめぐり合えました。楽しかったです。
秋田から来ていたお店は音楽のカセットテープばかり売っていて、ぼくもmooolsのを一本買いました。
(いわきのバンド「あぶらすまし」のカセットはプレゼントしてくれました。 

5月2日(水)「鮎川誠バースデイライブ」

下北沢のGarden Hallで鮎川くんの70歳の誕生日を祝福するライブがあって、 
Three Kingsとしてぼくと三宅伸治も参加して演奏しました。 
楽屋はたくさんの贈り物。着るものや身につけるものが多いのが鮎川くんの特徴です。
シーナ&ロケッツが1時間ほど演奏した後に、三宅くんとぼくが加わり、
ロケッツ&スリーキングズというスタイルで5曲演奏しました。
ロケッツは最後まで2時間半ぶっ通しで演奏したので、鮎川くんも、ベースの奈良くんも、
指がつったと言っていました。とにかく熱い誕生会でした。とても70歳とは思えなかった。

5月3日(木)「春一番一日目」

午後の新幹線で大阪に向かったので、今日の春一番は有山じゅんじと金子マリしか聞けませんでした。 
有山くんは声量もあり、喉の病気から完全に復活したみたい。歌うことが楽しそうでした。

 

5月4日(金)「春一番二日目」

今日は春一番をぼくはまるまる全部聞きました。だからほとんど楽屋には行かなかった。
途中雨雲が来て遠くに雷の音も聞こえたけど、雨はたいしたことはなく、ぼくは手の甲まで焼けました。
春一番は出演者を選ぶのではなく、出てくる人を順番に聞くのがおもしろいです。
 佐久間順平と一緒に演奏をした谷川賢作くんを新大阪に送り、ぼくとユミはそのまま梅田の新しい 
ムジカジャポニカに行きました。
 行くとちょうど夕凪が演奏をしていて、入り口のあたりにはさっきまで春一番の会場にいたはずのナオユキが。
そしてステージ脇のソファーにはふちがみとふなとの二人がいて、急きょぼくも一緒に「Nalala」を 
やることになりました。 
ナオユキはついさっき春一番で聞いたのと同じネタでもやはりおもしろかった。歌の様だと思いました。
ふちがみとふなとの演奏も普段より5倍ぐらいテンションが高く、ムジカジャポニカの新しいパワーが
乗り移ったみたい。今日はまるまる一日ライブばかり聞いていました。 

5月5日(土)「春一番三日目」

今日はぼくたちThree Kingの演奏のある日です。ほとんど客席には行かずに、楽屋でギターを弾いていました。 
三宅くんが自分のバンドで演奏した後、しばらく間をおいてぼくがソロで3曲歌いました。出番の前に楽屋で、 
鮎川くんと二人で「戦死」をやろうか、と話していた勢いもあって、2曲目の「From Brooklyn」を鮎川くんと 
二人でやりました。
それからしばらくまた間をおいていよいよThree Kings。持ち時間が短かったので、「Like A Rolling Stone」
「ぬすっと」「一本道」「レモンティー」「You May Dream」を3人だけで演奏。アンコールの拍手がすごくて、
再び3人で「夕日は昇る」を歌って終わりました。今年はThree Kingsで出演できたのがとてもうれしかった。 
今年の春一番三日目のトリは夕凪。最後に「ぼくは君を探しに来たんだ」を一緒にやりたいとせい子さんが
言ってくれて、ぼくも歌いました。彼らのアレンジをほどこした「ぼくは君を・・・・」を聞いて、鮎川くんは
「音が若々しいね」と言っていました。今年の春一番はそんな夕凪の音と共に暮れて行きました。 

5月8日(火) 「スリー・ビルボード」

ユミとジャック&ベティに映画を見に行きました。
レイプ事件の犯人をなかなか捕まえられない警察への怒りを公けにするため、自宅近くの広告塔に
メッセージを載せた、殺された娘の母親。有色人種を片っ端から暴力で苦しめてきた白人警察官。 
小さな町で対立するこの二人が、結局レイプ事件は一つではないと気が付いて次の行動に移るまでの 
人間関係の話。すべてがとても生々しい。  

5月9日(水)「打ち合わせ」 

横浜で、思潮社の高木さんと新しい詩集についての初めての打ち合わせをしました。 

5月11日(金)「松山市 スタジオOWL」

2年ぶりのスタジオOWLでした。
一曲ごとに反応が違うので、お客さんが歌をちゃんと聞こうとしているのがよくわかりました。
そういう場では「つばめ」のような地味な歌にも予想外の反応がかえってきたりします。 
昼間の暑さに比べると、日暮れからとたんに寒くなる松山でした。

 

5月12日(土)「徳島 寅家」

今日も昼間は暑かった。
でも川のほとりには涼しい風もあって、ライブは8時からなのでしばらく風に当たっていました。 
阿波踊りのさわがしいイメージとは違い、普段の徳島は静かです。 
ほぼ満席のお客さんに音量も普段より大きめでした。音響を担当した寅家の岡本さん、
「ギターがめっちゃんこいい音だった」と言っていました。

5月13日(日)「三豊市 まちあわせ2018」

過去2回は古い酒蔵でのコンサートでしたが建物の老朽化で使用できなくなり、今年は
三豊市市民交流センターホールで開かれました。 
出演者も去年とは少し変わって、金森幸介、有山じゅんじ、それからLDKとしてですが、
ふちがみとふなとが初めて出演しました。(LDKとはぼくとふちがみとふなとのユニットです。)
 
ぼくはギターパンダの山川ノリオくんのところで、「From Brooklyn」と「月の光」を山川くんと
一緒に歌いました。
LDKでは10曲歌いました。何曲目かにふちがみさんが「今日はうまくいっていますね」と言ったように、
ぼくも今日は実にうまくいっているな、と思いながら歌っていました。
最後はLDKの新曲「世界のかたち」。後半を盛り上げるようにしたらアンコールがきました。 
それで出演者全員がステージに上がり、「I Shall Be Released」と「待ちあわせ」を演奏。
とてもやさしい雰囲気の終わり方でした。
一日中かなり激しく降っていた雨もコンサートの終了時にはほぼ上がり、打ち上げのビールもおいしかった。 

 

5月15日(火)「PARK 地上波放送」

正確には16日の午前1時半から3時半まで、PARKがフジTVの地上波で放送され、ぼくのところはライブ2曲と
トークが放送されました 放送された曲は「はじめぼくはひとりだった」と「ぼくは君を探しに来たんだ」です。
普通なら眠っている時間ですが、見た人はいますか。

5月18日(金) 「森山直太朗くんのレコーディング」

直太朗くんの新曲にコーラスをつけました。歌で誰かのレコーディングに参加するのは初めて。 
まだ午後の早い時間で、始めのうちは声も出ないし、うまく歌えませんでした。
でも何度かやり直すうちにリラックスできて、最後の頃はとても楽しめました。 
歌にもすっかり馴染んでしまいました。 
録音の前に直太朗くんから報告されたのですが、二日前に入籍をしたそうです。相手の女性は
去年横浜のライブに直太朗くんと一緒に見に来てくれた人だったので、とてもうれしかった。
それからなんと今日は御徒町くんの誕生日でもありました。
そんな日にこうやって直太朗くんたちの仕事に参加することが出来てよかったなあ。

 

5月19日(土) 「秩父 ホンキートンク」

毎年の恒例のホンキートンクライブです。店主の鈴木さんからの今年のリクエストは「長崎慕情」。 
2曲目の「ランブリング・ジャック」では掛け合いの部分を大勢の人が一緒に声を出して歌ってくれて、 
ホンキートンクのお客さんはわかっているなあ、と感心しました。 
ホンキートンクはいつのまにか歌いに行くところではなく、歌いに帰っていく場所になっていたみたいです。 
翌朝はユミと秩父神社に行ったりして観光してから帰りました。

 

5月24日(木)「火星の庭」

おとといから仙台に来ています。
 店内の工事で2週間休業していた「火星の庭」が今日から再開しました。
 2週間休んだので、2週間すべての古本が2割引です。
 これを待っていたかのように、なかなか買えないでいた高い本をぼくは買いました。
 ユミも前から気になっていた本が見つかってうれしそうでした。

 火星の庭の前野さんに招待券をもらったので、歩いて宮城県立美術館まで行き、
 林明子原画展を見ました。
 まだ息子の一穂が小さかったとき、ユミが「はじめてのおつかい」という絵本を買って来て、
 3人で何度も読んだのを覚えています。この本と「びゅんびゅんごまがまわったら」はまだ
 家にあるはず。
 「絵本のひきだし」というこの展覧会で初めて林明子の全貌に触れることができました。

5月25日(金)「天文台」 

今日はぼくの誕生日で、68歳になりました。
 ユミが計画して行き方もいろいろ調べて、二人で仙台郊外の天文台に行きました。
 仙台駅前からぼくたちが乗ったのは愛子観光バス。
 プラネタリウムは上映が始まるとまず、夕空に5月25日という日付が確認されました。
 今日の夕方から明日の朝までのプログラムです。
 星の動きは単純なようでとてもダイナミックです。
 その後展示を見てまわり、宇宙の誕生の謎を知りたくなりました。
 またバスで仙台に戻り、駅前のBuddy Buddyに食事をしに行ったら、お店の間瀬くんが
 お祝いにワインを一本プレゼントしてくれて、料理も色々出してくれました。

5月26日(土)「モーツァルト・アトリエ」

今年の仙台でのリクエスト大会は、広瀬川のそばのモーツァルト・アトリエというカフェ。
 吉祥寺のスターパインズと同じように、一人一曲ずつ紙に書いてリクエストしてもらいました。
 今回の特徴は「ふーさん」「彼女と死」「バークレー散歩」など、いままでほとんど
 ライブで歌ったことのない曲にもリクエストがあったこと。
 アンコールは「おしゃべりなカラス」と「横顔」でした。
 途中「夜よ、明けるな」をマイクなしで歌ったら、手ごたえのある音の響きに感激しました。 

5月27日(日)「卓くんと愛ちゃん」

5月5日に入籍した伊東卓くんと愛ちゃんの結婚パーティが仙台駅東口のイタリア料理店でありました。
 卓くんは火星の庭句会のメンバーで、4月の句会のときにお祝いをしようということになったのです。
 何人かがいろいろ準備して、楽しい夜になりました。ぼくも2曲歌いました。
 卓くんと愛ちゃんの自然な様子が良くて、この二人のためにパーティが開かれて良かったなあと思いました。 

5月31日(木)「50冊のスケッチブック」

高島屋横浜店7階のギャラリーで昨日から始まっている広田稔「50冊のスケッチブック」展をユミと見に行きました。
この50冊のスケッチブックには、2年間の広田さんがぎっしりつまっています。
見開きに一作ずつ一冊に12の絵が直に描かれていて、印刷では得られないどきどきするような手触りがあります。
50冊全部内容が違い、具象と抽象の数も適当です。
はじめから買うつもりで行ったぼくたちは、選ぶのに相当時間がかかり、中でも抽象画の多い一冊を選びました。

6月3日(日)「みんなで走って晩御飯」

ニューヨークで知り合った良平、絵里夫妻とマサがうちに遊びに来ました。
4月の東京ライブにみんなで聴きに来てくれた時、絵里ちゃんが一度も横浜のうちに来たことがないので来たい、
と言ったのがきっかけでした。
良平くんもマサもランナーなので、御飯の前に3人で近所の根岸森林公園を10キロ走りました。ユミと絵里ちゃんは
森林公園内にいるサラブレッドを見たり、昔の競馬場跡の美しい保存建築を見たりして散歩していました。
気温は高かったけど乾燥していて、木陰に入ると涼しく、そんなに汗もかかなかった。
走った後はうちでシャワーを浴びて晩御飯を食べました。ユミが作ったものは野菜料理ばかりで、肉は鳥の手羽中を
焼いたものだけ。
終電近くまで結構飲んで、お土産のケーキなど食べて解散しました。また集まってみんなで走りたいな。
 

6月5日(火)「なんかやりたい」

森山直太朗くんと御徒町凧くんの事務所が企画した「なんかやりたい」をユミと見に行きました。
出演者5人のやりたいことを集めて劇にしたような内容でした。
お客さんにもやりたいことを書いてもらっていましたが、それは内容にはならず、お芝居の最後に紙吹雪となって
舞台を舞っていました。
ぼくもユミも彼らが何をやるのかを全く知らずに行き、その分倍返しのような感動と喜びを覚えました。
元々は音楽をやるために集まった人たちが、それ以外のところでも何かやってみたくて、それを形なんかに
こだわらずにやってみた、という感じ。音楽からはみ出たところに、音楽がもう一度入り込んでいく。
公演がいったん終了した後、御徒町くんに誘われて、ぼくも舞台に出て借りたギターで一曲歌いました。

6月7日(木)「カバー、おかけしますか?②」

滋賀県近江八幡市にあったイシオカ書店の奥村さんが、ぼくのイラストで作った書店用ブックカバーが、 
2001年に書皮友好協会による第十八回目の書皮大賞をもらいました。
その後大賞になったブックカバーなどを集めて、2005年に「カバー、おかけしますか?」という本が出版 
されたのですが、今年4月にその続編が出ました。イシオカ書店のカバーも再録されています。
見慣れたブックカバーもあれば、珍しくて欲しくなるようなのもあり、どんな本屋さんなのだろうと想像します。
(6月20日(水)~23日(土)の間、東京古書会館2階で、「カバー、おかけしますか?」展が開かれるそうです。) 

6月8日(金)「ギリヤーク尼ヶ崎」

インターネット新聞「The Page 神奈川」で、大道芸人のギリヤーク尼ヶ崎さんに関する記事が今公開されています。
記事のタイトルは「大道芸人・ギリヤーク尼ヶ崎に魅せられた表現者たち(前編)(後編)」で、ギリヤークさんに出会い、
ギリヤークさんが好きで、ずっと応援している何人かの人たちが取材されています。
ギリヤークさんのことを歌った「大道芸人」というぼくの歌についてのことも出てきます。
みんなが自分にとってのギリヤークさんを語っていて読み応えがありました。 
The Page 神奈川 https://thepage.jp/kanagawa/

6月9日(土)「松竹谷清」

去年同じ日に還暦祝いのライブをした松竹谷清が、今年も渋谷のライブハウスでバンドでライブをしました。
去年はぼくとピアニカ前田がゲストで出ましたが、今年は単独のライブ。 
三日前に風邪をひいて声が出ないと楽屋で言っていた清くんですが、4曲目ぐらいからいつもの声が
出始めて、そのまま最後までぶっ通しで25曲。スタンディングのお客さんはアンコールを含めて3時間、
ずっと飲み物を片手に踊っていました。
清くんの音楽で体が揺れるのは、ゆったりとしたメロディと小刻みなリズムのせいだと思います。 
ゆったりと小刻みの幅が広がればそれだけ体の揺れも大きくなる。
そして揺れる体の上では、どの顔も笑っているのでした。 
 

6月15日(金)「3kings 鹿児島 」

肌寒い雨の羽田から美しい緑の国、鹿児島に。 
ぼくとユミと三宅くんと武田くんを鮎川くんのサポーターの鈴木さんが空港で出迎えてくれました。
3kingsの九州ツアーの初日は鹿児島のSRホール。 
ほぼ全曲をリハーサルして、慎重に本番に臨んだおかげでとてもいい演奏ができたようです。 
鮎川くんと三宅くんの大音量のエレキにもかかわらず、ぼくのアコースティックギターもよく 
聞こえたのはPAの佐久間くんのおかげ。今日の3kingsは今までのベスト、と言ってくれました。

 

6月16日(土)「3kings 熊本」

鹿児島から熊本への移動は鈴木さんの車で。途中えびの高原サービスエリアで休息をとりました。 
車中ぼくや三宅くんのために煙草を我慢していた鮎川くんは、高原の澄み切った空気と一緒に、
煙草の煙を思いっきり吸い込んでいました。
 
会場はワンドロップというライブのできるレストラン。壁にはたくさんのエレキギターがかかっています。 
狭い一階のフロアはスタンディングのお客さんでぎっしり。 
天井の低い二階にもおもしろいほどたくさんのお客さん。みんなとても元気なのが特徴でした。 
ライブの後にお店が準備してくれた食事がとてもおいしかった。 
熊本地震のときには、このおいしい食事が被災した地域の人たちに提供されたそうです。 

6月17日(日)「3kings 福岡」

3kings九州ツアーの最終日は福岡のライブハウスCB。シーナ&ロケッツのドラム川嶋さんのお店です。 
鹿児島と熊本のライブが良かったので、さらにいい演奏をと気負ったせいか、 
ぼくは一曲目の「ライク・ア・ローリングストーン」の四番をもう少しでとばすところでした。
でも二人の間にいると気持ちもすぐに落ち着いて、その後は大きな失敗もなかった。
鮎川くんのギターは全速で走る犬のようだし、三宅くんのギターはロダンの考える人のよう。
全然違うタイプの人の真ん中にさらに別のタイプのぼくがいるのだから、ライブが楽しくならない
わけがありません。今までにもいろんな人たちとのライブを体験してきましたが、今回は久しぶりに 
遭遇する大型台風のような気がします。

6月18日(月)「地震で始まった一日」

ホテルでテレビをつけたら地震速報。震源地は大阪で、ユミはすぐに一人暮らしの母親に電話をしていました。 
飛行機の便が夕方だったので、以前何度もぼくのライブを主催してくれた田中くんにユミと会いに行きました。 
飛行機は予定より1時間遅れで福岡を離陸。 
遅れのせいなのか、搭乗するときにゲートで一人1000円ずつもらいました。こんなの初めて。 

6月22日(金)「横浜 サムズアップ」 

バンバンバザールの新しいアルバム「えとらんぜ」の発売を記念してのライブで、
前半はバンバンがアルバムの中の全曲を披露していました。 
後半はバンバンのソロから始まり、そこにぼくが加わって「歯車とスモークド・サーモン」 
と「待ちあわせ」を合同で演奏しました。 
それからぼくのソロが5曲あって、またバンバンと一緒に4曲演奏するという構成でした。 
アンコールは「ぼくは君を探しに来たんだ」。
ピアノやドラムやマンドリンのサポートメンバーの演奏がすごく自然で良くて、 
こういう何もしないバンドにぼくは昔から憧れていたことを思い出した夜でした。

6月24日(日)「南箕輪村 叶屋」

今年で11年めになる叶屋ライブ。毎年沙羅双樹の花が咲く6月に開かれてきました。
会場は地酒専門の酒屋として知られている叶屋。
店の横には大きな沙羅双樹の木がつるつるとはえています。少し
毎年楽しみにしてくれている人と新たなお客さんと、半分半分というような雰囲気の
会場で、休憩時間には外に用意されたテントで地酒がふるまわれます。
梅雨のシーズンなのにまだ雨に降られたことのないこのライブ、
このまれな幸運を来年もキープしたいものです。

6月27日(水)「句会」

仙台の火星の庭で6月の句会がありました。 
句会当日に横浜から仙台に来たので、持ち寄りの食べ物は作れなかったけど、
今夜は松本のふあ先生からもらったほたるいかの素干しがとても好評で、
ぼくが書いた俳句はあまり選ばれませんでしたが、このことが今回はうれしかった。

6月28日(木)「Trip To Zine」

多賀城市の図書館で展示されている日本各地世界各地のZineと呼ばれるミニコミの
展示会をユミと見に行きました。 
大阪のプレイガイドジャーナルも紹介されていました。 
そういえばタウン誌と呼ばれる地方誌がにぎわいを見せていた時期があって、 
ぼくも帯広の「ふるさと十勝」に連載をしていたことを思い出しました。 
現在もより小規模でテーマが細分化された雑誌がたくさん出ているようです。

7月1日(日)「出羽三山神社」

句会のメンバー7人で、山形県の出羽三山のうちの湯殿山と羽黒山に行ってきました。
ご神体については口外無用と言われる湯殿山ですが、こんこんとお湯の湧き出る温泉の
ようなところで、少し熱めでしたが足湯が楽しかった。
ユミはなにか霊気のようなものにあてられて、座り込んでしまいました。
羽黒山の鳥居のあたりでそばを食べてから、開扉は150年ぶりという五重の塔の中を見ました。
入場者の整理に当たっている女性たちの気さくな感じが良かったです。
そこから2446段の石段(2kmぐらい)を、途中にある茶屋で休憩しながら山頂まで登りました。
この石段、江戸時代に作られたそうです。そのちょうど真ん中にある茶屋で働く女性は、
毎朝この階段を歩いて通っているそうです。
山頂のバス乗り場の近くで、この石段を下から上まで駆け上がる石段マラソンがある
ということをポスターで知り、参加してみたいと思いました。 
山また山の山形県、こうやって車で行くとそのことがよくわかりました。 
都会にいると狭く感じる日本が、ここではとても広く感じました。 

7月2日(月)「万引き家族」

仙台の映画館フォーラムに「万引き家族」をユミと見に行きました。
おばあさんが死んで家族みんなが警察で取り調べを受けるまでは、夢のような家族に
思えたのに、世間がそこに割り込んで来て夢から覚めてしまった。
現実はずいぶん白けた世界なのだと知りました。
その白けた世界で演技をする役者のすごさを感じました。
 
もう一つ、映画館の話です。
 
6月30日に仙台で最も古い映画館セントラルホールが閉館しました。
ぼくとユミはそのとき喫茶店ホルンにいてたまたまそのことを知ったのですが、
すでに最終上映がもう少しで終わる時刻でした。
急いでセントラルホールに駆け付けましたが、場内は立ち見が出るほど満員だとかで、
映画館の遠藤さんに挨拶をして帰りました。
 
去年の9月下旬にここで「ミリキタニの猫」の上映があって、プロデューサーのマサと
上映後のトークをしたのですが、そのとき遠藤さんが「仙台で一番人通りの多い通りに
あるのに、人は映画館に足を向けない」と話していたのを思い出しました。
閉館はそれからたった半年後のことですから、あれはとても切実な気持ちだった
のでしょう。最終日に大勢の観客が訪れたのは、亡くなった人に別れを惜しむ
告別式のように感じました。

7月5日(木)「映画を見ながら」

映画の話が続きます。
火星の庭で閉店後にホルンの渋谷さんたちとDVDを見ました。
持ち寄った晩御飯を食べながら内輪のささやかな楽しみ。
今夜は渋谷さん持参の「人生は、時々晴れ」とユミの持参した「You Can Count On Me」。
見た後もだらだらと感想を述べあえるのが楽しいです。
2本とも力作でした。映画というものは何に奉仕するためにこんなに一生懸命に
なって作られるんだろう、とぼくには何か感慨深いものがありました。

7月9日(月)「双葉くんと省念くん」

下北沢の440で双葉双一くんと吉田省念くんの二人のライブがあって、ユミと聞きに行きました。
双葉くんは本当に久しぶりで、あとで本人に聞いたら東京で歌うのは1年半ぶりだそうです。
前半に双葉くんが歌い、後半に省念くんが歌いました。
双葉くんの物憂い感じは相変わらずで、コード進行はブルースではないけれど、情景がその世界。
それに比べて省念くんはギターの演奏を楽しんでいる感じ。
二人とも景色を大切にしているけれど、その雰囲気は大きくちがう。
そしてアンコールのセッションがとてもすてきでした。
 
ついでですが、9月には省念バンドを京都から呼んで、ぼくと一緒にライブをします。
彼らと一緒に演奏するのはとても楽しいです。スターパインズカフェにもぜひ。 

7月10日(火)「えんとこの歌」

寝たきりの歌人、遠藤滋さんをとらえたドキュメンタリー作品で、監督の伊勢真一さんから 
遠藤さんの短歌を朗読しないかと誘われ、四谷のスタジオで収録しました。
これは近々映画として劇場公開される予定ですが、7月28日夜11時からNHKのETVで一時間番組の
放送が決まっています。
コマーシャルの仕事以外で、映像に声を入れるのは初めての体験でした。
声が自分に戻って来るとき、遠藤さんが短歌でいわんとしていることがわかってくるような気がしました。
遠藤滋さんと遠藤さんを介助する若者たちが集まる「えんとこ(縁のあるところ)」をぜひ見てみてください。

7月20日(金)「工藤夏海展」

ポポタムというブック・ギャラリーで今日から始まった夏海さんの個展「まちがいの実」
をユミと見に行きました。
 気温は高くても風があって外を歩くのもそんなに苦痛ではありません。
 ポポタムは池袋の外れにあるのですが、周辺のアパートの人たちがベランダのドアを
 あけ放っているのが目につきました。
 夏海さんの今回の作品は冬に仙台で開かれた個展の延長線上にあるもの。
 今回は初日に行ったので、仙台では売り切れていて買えなかった絵の作品を一つ買いました。
 韓国のシンガーソングライターのイ・ランさんと夏海さんが、即興のような人形劇を
 ギャラリーの閉店時刻まで何回もやっていておもしろかった。
 子供たちが自分の人形に喋らせて物語を作っている感じ。イ・ランさんの声がすてきでした。
 今日は火星の庭の前野久美子さんも来ていたし、いつもばったり会う細馬弘道さんや、偶然
 用事で来たナナロク社の村井さんやいろんな人に会いました。
 ギャラリーが終わった後は、前野さんが往来座の瀬戸さんやイラストレーターの武藤さんと
 近くで飲んでいるというのでぼくとユミも合流。両手で持たないと支えられないくらい
 大きなおにぎりを食べたりして楽しかった。

7月21日(土)「moln」

鎌倉のmolnでライブ、今回で4年連続です。好きな本を紹介しながらのライブで、
今年の3冊は、片山令子さんの詩集「夏のかんむり」、カポーティの「草の竪琴」、北大路翼編集の
「アウトロー俳句」というアンソロジー。これは北大路さんが歌舞伎町で主宰する「屍派」の句集です。
今年の春亡くなった片山令子さんの詩を朗読したのですが、久しぶりに本人に会えたような気がしたと
ユミに言われました。
molnの五十嵐さん夫妻はバンドもやっていて、もうすぐ完成するミニアルバムで「私の踊り子」を
カバーしてくれたそうです。今夜は安藤健二郎くんがひょっこり見に来たので、クラリネットで4曲も
ぶっつけでセッションしてもらいました。今日見に来たお客さんはラッキーでしたね。
 
さて明後日からは仙台です。今回の仙台ではイノトモさんとのライブがあります。これも楽しみです。

7月23日(月) 仙台

今夜から仙台に来ています。明日の朝行われるアパートのビルの一斉排水管清掃のために
来たのですが、こっちはとても涼しい。なんか得した気分です。

7月28日(土)「イノトモさん」

Sendai Koffeeでイノトモさんと二人で初めてのライブ。
会場に入る前に仙台のぼくのアパートで、2時間ぐらい一緒にやる曲をリハーサルしました。 
ちょうどお祭りの日で外がやかましく、思う存分練習ができました。 
イノトモさんは今年デビュー20周年で、去年出した新譜を紹介しながらのステージでした。
イノトモさんの最後に二人で「ただの偶然」と「冬の匂い」を歌いました。
ぼくは練習の成果をあまり発揮できなかったけど。 
後半はぼくが約50分ソロで歌ってから、二人で「アイ・シャル・ビー・リリースト」と「夜よ、明けるな」 
を一緒に歌いました。アンコールはイノトモさんがソロで2曲歌い、その後に「朝は詩人」を二人で。
ぼくの歌はすべてイノトモさんからのリクエストです。 
薬缶を箸でたたいたようなぼくの声に、意外にもイノトモさんの美しい声は合っていたようです。 
台風上陸との天気予報で、今夜はお客さんのキャンセルも割とあったようですが、仙台は雨も 
ほとんど降らずでした。
 

7月31日(火)「句会」

句会のメンバーの砂人さんのアパートで句会をしました。
砂人さんのアパートは東仙台にあって、なぜそこでやることになったのかといえば、 
今夜は火星大接近の日。まわりに高い建物がないので、みんなで実際に火星を見ながら 
やろうということになったのです。 
予報では曇りでしたが、8時過ぎには夜空は奇跡のように晴れ渡り、くっきりと静かな火星の姿を 
眺めることができました。 
今夜の句会でユミの句に7点も票が入ったのも火星大接近のおかげなのかもしれません。
  
今回の仙台、滞在中はとても過ごしやすかった。30℃を超えた日はほとんどなかったのでは。 
明日から8月。暑い横浜に戻ります。 

8月5日(日)「つくば食堂 花」 

2年ぶりのつくば市は気温が36度でした。ステージ横のクーラーの温度設定を低く
してもらってのライブ。もしかしたら前のお客さんには寒かったかも。
間に休憩を入れてたくさん歌いました。お客さんも楽しんでくれたと思います。
「花」でのライブはチラシがとても良くて、ぼくも記念に何枚かもらって帰りました。
 絵は矢吹純さんという若い人が描きました。店主の植田くんの美学なのか、料理もチラシも
 すばらしいです。 

8月6日(月)「つくば」

「花」の植田くん夫妻が駅前のホテルにぼくとユミを迎えに来てくれ、つくばの町をブラブラしました。
 まずCOXというレストラン。石の山かと思ったらその中にお店がありました。
 その中でみんな普通においしいものを食べています。
 それから千年一日珈琲焙煎所でコーヒーを注文して、隣のPeople Book Storeに入り、
 本を見ながら珈琲ができたよ、と呼びに来るのを待つ。peopleでは矢吹純さんの個展会期中で、
 絵は色鉛筆などで何かの紙の裏なんかに描かれていました。なんかデビット・ホックニー
 みたいでおもしろい。ぼくは矢吹さんの小さな画集を買いました。
 午後遅くまでいて、東京に用事があるという植田くん夫妻と4人で、つくばエクスプレスで帰りました。 

8月7日「3 KINGS」

去年の3 KINGSの京都磔磔ライブ盤が完成しました。CD2枚組です。
3 KINGSの初ライブが全曲収められています。自分たちの演奏を客席で聞いているように生々しい。
ライブのおもしろさは生々しさにあるんだね。8月11日の磔磔で売り出すから聞いてみてください。
ライブ会場でしか買えません。ちょっとジャケットの曲順のところにミスがありますが、 
ま、たいしたことないので。 

8月10日(金)「京都でリハーサル」

吉田省念バンドと京都でリハーサルをしました。
 これは9月8日のスターパインズカフェのためのリハーサルです。
 車でぼくとユミを迎えに来てくれた省念くんと谷くんと一緒にまず銀閣寺の「おめん」で
 おいしいうどんをを食べてからスタジオに。
 省念くんのプライベイト・スタジオは京都市内の山の麓にあって、設備も整っていて
 うらやましい限りです。
 リハーサルの後はまた省念くんが車でぼくらをホテルまで送ってくれました。

8月11日(土)「3 KINGS」

三宅伸治くんの磔磔3 Days二日目として、3 KINGSが1年ぶりに京都で演奏しました。
 今回は三宅くんのバンド、Spoonfulのメンバー全員も後半6曲の演奏に参加してくれました。
 今日は3 KINGSの1st Albumの発売日でもあり、演奏とライブアルバム(2枚組)を目当てに大勢の
 お客さんが来てくれました。なぜならこのCDはライブ会場のみの限定発売だから。
 去年の磔磔のライブをまるまる収めてあります。演奏だけではなく、客席の高揚感やぼくたちの
 はつらつとした気分まで全部。
 そして今日は現在制作中の3 KINGSのオリジナルアルバムから新曲を2曲演奏しました。
 録音は9月まで続く予定です。年内に発売できるかどうか、というところです。
 内容は今のところ書き下ろしの新曲ばかりの予定ですが、今後どうなるかはわかりません。

8月12日(日)「Bo Tambourine」

神戸元町にあるカフェBo Tambourineの10周年をお祝いするライブをしました。
 Bo Tambourineでは1周年のお祝いで、その翌年にはフラワーカンパニーズの鈴木圭介くんと
 二人でライブをしました。
 今日はソロでしたが、1曲目は圭介くんと作った「サンテグジュペリはもういない」を歌いました。
 練習せずにいきなり歌ったのでちょっと間違えたりしましたが。
 他にもいくつか歌詞やコードを間違えたりと失敗の多い日でしたが、それ以上に楽しく歌えた日でした。
 普段はあまりしゃべらないのに、店主を会話に巻き込んだりして。

8月19日(日)「宮田八郎特集」 

映画監督の伊勢真一さんの仲間で、カメラマンの宮田八郎さんを偲ぶドキュメンタリー映画の
上映会が新横浜のラポールでありました。
ぼくは伊勢さんのドキュメンタリー「えんとこの歌」で見た宮田さんの映像に深く感動して、
丁度上映会が開かれると知り、行ってきました。 
上映された作品「穂高をゆく」と「星々の記憶」は宮田さんの作品です。
「穂高をゆく」は短編3作からなっていて、山を登る人にしか撮れない山登りの映画。 
「星々の記憶」は宮田さんの最新作で遺作で、穂高で撮り続けた夜空を時空を移動するような
感覚で見せてくれます。
「小屋番」は伊勢さんの作品で、涸沢ヒュッテを訪れる人たちとヒュッテで働く人たちを 
映画にしていますが、宮田さんは穂高岳山荘の小屋番でもありました。
  
宮田さんは春に西伊豆の海でカヌーで遭難して、帰らぬ人になりました。
孤独な自然を撮り続けた宮田さんが最後にカメラを向けたのが人間だったような気がしました。

8月18日(土)「さすらいのレコードコレクター」 

横浜のジャック&ベティに「さすらいのレコードコレクター」というドキュメンタリー映画を
見に行きました。30分ぐらい前に着いたのにけっこうたくさんのお客さんが来ていて、
なんとなくアナログレコード熱の高まりを感じました。
でもこの主人公が集めているのは78回転のSP。知らない人の家を訪ねて歩き、眠っているレコードを探す。
ロバート・ジョンソンの「クロスロード」のSPはぼくも欲しかったな。

8月22日(水)「佐布さん60歳」 

横浜のライブハウス、サムズアップのオーナー佐布さんが還暦を迎え、サムズアップのスタッフたちが
盛大なお祝いのパーティを開きました。
普段からサムズアップに出演しているミュージシャンが大勢来て演奏しました。ぼくは東京ローカル・ホンクと
久々に「ぼくは君を探しに来たんだ」を歌いました。
こんなに大勢の多種多様なミュージシャンや音楽で佐布さんの音楽人生が成り立ってきたんだとぼくは 感心しました。

8月23日(木)「822」

昨日、森山直太朗くんの新譜「822」が発売されました。
ぼくも「出世しちゃったんだね」という曲でコーラスで参加しました。
8月25日の深夜「カウントダウンTV」(TBS)に直太朗くんが出演して、ぼくの歌をちょっと紹介して
くれるみたいです 

8月26日(日)「北海道マラソン」

昨日からユミと札幌に来ています。
昨日は「やぎや」で永田さんの作るおいしい食事を楽しんで、バイーヤで清くんとおしゃべりしてから 
早めにホテルに帰りました。
  
今年の北海道マラソンは最初から最後まで涼しかった。
これはうれしいことでした。途中からは日も陰り、風が冷たく感じました。
タイムは去年より遅い3時間42分でしたが、最後まで一定の速度で走れたのが
うれしいことでした。 
ユミと一緒に札幌や小樽の友だちが場所を移動しながら応援してくれて、冷たいスポンジや甘い西瓜、 
トマトやアミノバイタルゼリーはリフレッシュにとても役に立った。ありがとう。



  
フィニッシュした後は、今年で路上パフォーマンス50周年のギリヤーク尼ヶ崎さんを見に行きました。 
でも人垣でギリヤークさんの姿が見られません。なんとなく音だけ聞き取ってホテルに帰りました。

夜はベッシーホールに松竹谷清バンドのライブを聞きに行きました。共演のキセルも聞けてうれしかった。
清くんは「今日マラソンを走った友部さんに」と言って「夕日は昇る」も歌ってくれました。
来年は清くんのバンドとの名古屋・京都ツアーも決まっています。楽しみです。

8月27日(月)「稲妻のオーロラ」

夕方まで札幌にいて、千歳から飛行機で帰りました。
今日も札幌は涼しく、天気予報によると残暑もなくこのまま秋へと突入していくみたいです。 
関東地方の落雷のため空の便が乱れていて、ぼくたちの乗った飛行機も遅れました。 
飛行機は雷雲の中を飛び、音が聞こえないので稲光がオーロラの光のように見えました。 
着陸した後も機体はゲートに近づくことができなくて雷が去るまで40分ぐらい待機したまま。
その間機内が蒸し暑くてとても不快でした。
肌寒い札幌が懐かしくなりました。 

9月2日(日)「徒歩旅行」

今年80歳になった比嘉良治さん(ヨシ)が沖縄をめざして8月31日に東京の日本橋を出発しました。
ヨシは1964年からニューヨークに住んでいて、ぼくとユミは20年ぐらい前に知り合いました。
ぼくたちのニューヨーク暮らしはヨシのおかげでとても楽しかった。
昨夜うちに泊まったヨシと一緒に、今朝はぼくとユミも戸塚から藤沢まで歩きました。
ヨシはそこからさらに平塚まで歩き、今夜は辻堂に宿泊。
ニューヨークでヨシと知り合いになった女性たちも一緒に歩きました。
明日は箱根をめざす予定ですが、近づいている台風が心配です。

9月4日(火)「3KINGS レコーディング」

3KINGSのレコーディングで吉祥寺に行きました。
前回の8月も今日も、このレコーディングは台風に縁があります。前回は雨が、今回は風がすごかった。 
天候にもめげずにレコーディングは快調に進んでいます。
鮎川くんのギターがとてもいいです。頭でまとめるのではなく指で探りながら弾いている 
感じが伝わってきて。
 
京都の吉田省念くんもギターがいいです。8月に京都でやったリハーサルのときに3KINGSのことを話したら、
その翌日磔磔に聞きに来てくれました。
今週の土曜日(8日)にその吉田省念バンドと一緒に吉祥寺でライブをします。
若い人たちですが、ぼくとのセッションはばっちりです。

9月8日(土)「吉田省念バンド」

スターパインズカフェの21周年企画の一つとして、京都の吉田省念バンドをゲストに
ライブをしました。
今年の1月、京都「拾得」に省念くんのゲストとして呼んでもらったときのライブ 
とても好評だったので、ユミが東京でもやろうと決めたのがきっかけでした。
前半に省念バンドが40分演奏して、最後にぼくも参加して「月と太陽」を歌いました。
後半はぼくのソロが30分ほどあって、その後に省念バンドと7曲。
アンコールは省念くんと二人で「大道芸人」を歌い、その後全員で「朝は詩人」を演奏しました。
バンドのメンバーはスターパインズの音の良さをとても喜んでいました。
ぼくも、省念くんやベースの谷くんとの声の調和がとりやすく、「今日はいいライブだな」と
内心思いながら歌っていました。
来年また関西や東京でできたらいいなと思っています。

9月9日(日)「Gordon Matta-Clark」

竹橋の近代美術館に、アメリカの70年代のアーティストMatta-Clarkの回顧展をユミと見に行きました。
この展覧会のことを知ったのは昨日一緒にライブをした吉田省念くんが勧めてくれたからで、
ぼくもユミもこのアーティストのことは今まで知りませんでした。
いわゆる行動するアーティストで、作品を残すのは不可能に近いと本人も語っている通り、
この人がやろうとしたことは残されたわずかな材料から想像するしかありません。 
映像に記録された作品が多く、ちゃんと見ようとすると時間がかかりますが、彼が活躍した時代の
雰囲気は感じられました。そしてその雰囲気は今のニューヨークからは感じられなくなったものです。 
確かに時代は変わって行くんですね。
壁を築いて見えなくなったこの時代にのこぎりを入れるアーティストがまた現れるかもしれません。 

9月12日(水)「句会」

10日から仙台に来ています。今日は月に一度の句会がありました。
句会の後になんとなくアメリカの絵本作家のモーリス・センダックの話をしていました。 
そういえば8月のことですが、横浜でディック・ブルーナの「シンプルの正体」という
展覧会があって、見に行ったことを思い出しました。
センダックもブルーナもぼくは大好きです。

 

9月13日(木)「カメラを止めるな!」

今日は何もすることがないので、うちから歩いてすぐのチネ・ラヴィータに映画を見に行きました。 
この映画の話をしようとすると、見ていない人たちから止められます。 
見た人は中身を言わない、ということが約束のようになっています。 
でも話したくなる映画、周りの人みんなが見ていればもっとのびのびと話ができるのに。
いや、もう見ている人はたくさんいるかもしれませんね。 
ゾンビ映画なのにユミなんか声を出して笑っていました。 
この映画のことを教えてくれたつくば食堂花の植田くん、ありがとう。すごくおもしろかった。

9月14日(金)「志津川の夜神楽」

今日は南三陸志津川町にある上山八幡宮の夜神楽を見に行きました。毎年9月14日にやるそうです。
仙台から参加したのはぼくとユミと、ホルンの夏海さん(上山八幡宮の娘)、車を出してくれた火星の庭の
前野さん、今朝東京からやって来た時々自動の故今井次郎さんの奥さんのかやさんです。
松島や石巻に寄り道したので、お昼前に仙台を出発したのに志津川に着いたのは4時半。 
神社を継いだ夏海さんの妹が首を長くして待っていました。 
さっそく神社の中の階段にろうそくを設置する作業を手伝いました。 
日が暮れてからはろうそくに火をつけてまわりました。なんだか楽しかった。 
神楽は午後6時半から始まりました。最初に女性の巫女舞があって、神楽は全部で4演目。 
秋の収穫のお祭りだからか、米粒やお菓子をばらまいたりして楽しい感じです。 
『産屋』では子役として新生児も出演していました。 
神楽の後はさんさん商店街で一軒だけまだ空いていたお店で海鮮丼を食べて帰りました。
  
今年は春にも志津川の保呂羽山神社に神楽を見に来たのですが、そのときの志津川のきれいな 
情景を思い出して詩を書きました。詩は東海大学が出版している「望星」という月刊誌の 
10月号「詩のある生活」という特集に載っています。 

9月16日(日)「Takayama Paradise」

連休の高山は観光客の数が半端じゃない。そんな高山で小さな音楽イベントがありました。
今回で5回目だそうですが、ぼくが参加するのは初めて。会場は飛騨の里にあるモンローという 
喫茶店です。 
ぼくは最後に50分演奏する予定でしたが、途中からAZUMIとセッションしたので1時間半ぐらいに 
なってしまいましたが、AZUMIとちゃんとセッションしたのは初めてだったのでうれしかった。 
コードの書いていない歌詞カードを見ながら、AZUMIはギターを弾き歌い口笛を吹いてくれました。

9月17日(月)「松本 Give Me Little More」

昨日の出演者の岡沢じゅんくんに車に乗せてもらい一緒に松本まで。岡沢じゅんくんは松本在住です。
松本に着いて信大の近くにカレーを食べに行きました。玄米ご飯に二種類のカレー、お腹がいっぱいです。 
ライブは最初においらという若い女性のソロがあり、それからぼくが2時間ぐらい歌いました。
お店のニイミくんからできるだけたくさん歌って、と頼まれていたのでたくさん歌いました。
ライブの後にタイ料理屋でみんなで御飯を食べていたら、22日からのりんご音楽祭の主催者の古川さんが
やって来ました。とてもパワーを感じる人。
ぼくはりんご音楽祭の23日に初めて出演するのですが、持ち時間は40分ぐらいなので、それでニイミくんが
Give Meではたくさん歌って、と言ったのがわかりました。たくさん歌を聞きたい人が今夜のライブには
来てくれたので。

9月18日(火)「シラス」 

現在滋賀県あたりを歩行中のニューヨークのヨシから、一週間前浜松から発送されたシラスが今日やっと 
届きました。ぼくとユミが横浜の家をずっと留守にしていたので、シラスは返送される寸前でした。 
返送されていたらきっと悪くなって捨てられていたでしょう。さっそくユミと食べました。 
運送会社の管理が良かったからか、新鮮さが保たれていておいしかった。(賞味期限は2日過ぎていました。)
80歳になった記念にヨシは東海道を徒歩で京都に向かっていて、8月31日に日本橋を出発したから、 
かなり早いペースです。京都に着いたらそのまま徒歩で鹿児島に向かうそうです。最終地点は沖縄です。

9月23日(日)「りんご音楽祭」

昨日から始まっているりんご音楽祭ですが、ぼくは今日の午後にわさびステージで歌いました。
全部で7曲歌い、「大阪へやって来た」は松本の岡沢じゅんくんにコンガをたたいてもらいました。 
わさびステージはそばステージのすぐ下にあり、リハーサルのときはそこからの音が気になったけど、 
本番になると自分の音に集中したせいか、よそからの音は気にならなかった。 
お客さんからもそんな感想をもらいました。 
今回は松本に住む友人からの勧めで、何もわからずに参加したりんごフェスだったけど、若々しく 
手作り感のあるおもしろい音楽のお祭りでした。ぼくは今日は日帰りでやって来たので、ぼくの前後に 
出演したバンドと、七尾旅人くんを見ただけで帰りましたが、二日間のんびり見れたらよかったなあ、 
と思いました。

9月27日(木)「3kings レコーディング」

吉祥寺のスタジオに集まって、今までレコーディングした曲をもう一度点検し直しました。
その後は9月30日のライブのリハーサル。自分たちで後で聞くためにその演奏も録音しました。 
思いついた曲を三人でただ演奏しただけなのにそれも楽しいです。

9月29日(土)「ランニング」

根岸森林公園のランニングクラブに、南青山マンダラ店長の津山くんと参加して90分走りました。
津山くんは10月に、ぼくは11月にフルマラソンを走るので、ちょうどいい練習になりました。
雨が降っていて靴はびしょびしょになりましたが、ぼくの家でシャワーを浴びて軽く食事して、
津山くんはその靴のまま午後から仕事に行きました。

9月30日(日)「3KINGS  渋谷 BYG」 

今日は3KINGSのライブの日でしたが、台風24号が関東にも近づいていて、JRが午後8時以降在来線を
全線ストップすると発表したので、中止することになりました。
わざわざ昨日の飛行機で福岡から来てくれた人から「ショック!」という電話があり、申し訳ない気持ち。
台風は真夜中には横浜へもやって来て、木の太い幹もへし折らんばかりの勢いでした。
ライブの中止は仕方がないなと思いました。
(振替公演は一か月後の10月30日(火)に決定しました。)  

10月1日(月)「14歳の国」

宮沢章夫さんの「14歳の国」を早稲田小劇場どらま館にユミと見に行きました。中学の教師らが、
生徒が体育で教室をあけている間に無断で手荷物検査をするという内容です。
5人の教師たちを行き交うセリフが舞台に緊張感を作り出します。演じるのが生身の人間なので、
セリフにもリアリティがあります。
この芝居は20年ぶりの再演ということですが、20年前の衝撃的な事件の直後にこの演劇が書かれた
ということに改めてぼくは驚きを感じました。感情的なものを何も語らず、状況を掬い取っています。
宮沢章夫さんに会うのも久しぶりでした。「忙しすぎて」と語る宮沢さんの顔は日に焼けていなかった。

10月5日(金)「寺山修司展」

横浜の神奈川近代文学館に、寺山修司展を見に行きました。
雨が降っていて、元町通はいつもより人が少なかった。
ユミは寺山修司の子供の時や若い頃の手紙に興味を覚え、ぼくは演劇に引かれました。 
舞台と客席の境界をなくそうとした彼の演劇に、現実と夢想の境を取り払おうとした
努力の跡が見えたから。
でもぼくには何よりも彼の言葉が魅力的です。

 
10月8日(月)「猪熊弦一郎」

うちの近所にある馬の博物館で、猪熊弦一郎の展覧会が始まっています。
去年の夏、丸亀市の猪熊弦一郎美術館に行ったときに見た絵が横浜にやって来るなんて、
うれしいです。
猪熊弦一郎というと猫の絵と思っていたけど、馬もたくさん描いていました。
だから馬の博物館でやるんだな。
「馬と女性たち」というタイトルの展覧会で、馬と一緒にいる女性たちはみんな裸です。
どうしてかなと思ったけど、馬も裸でした。
猪熊弦一郎は第二次世界大戦の初めごろに2年間パリにいて、サーカスに夢中だったそうです。
そういえば彼の抽象画の線はサーカスの空中ブランコのようです。シルクという言葉が
フランス語でサーカスだと初めて知りました。

10月12日(金)「岡山 デスペラード」

8月の京都以来2か月ぶりの3KINGSライブは岡山のライブハウス「デスペラード」でした。
ぼくも三宅くんもここは初めてでしたが、音もよく、お店の人たちも感じがよかった。
シーナ&ロケッツのファンが大多数のようでしたが、今夜はその熱い声援が3KINGSにも
向けられていたこともよくわかりました。
アーケード街の一番はずれにあるお店に、ロックがオリンピックの聖火のように点った夜でした。 

10月13日(土)「鳥取市鹿野町 小鷲河地区公民館」

三宅伸治くんが去年から毎年やることになっているコンサートに、3KINGSとして呼ばれました。
主催の人たちはこの公民館の敷地内にある、現在は廃校になっている小学校の卒業生です。
みんな中学生の頃からフォークやロックが好きだったそうで、年齢層は高かったけれど、
音楽への思いは中学の時から変わらずに現在形です。
普段は主にライブハウスのお客さんしか接しない鮎川くんやPAの佐久間くんは、公民館に集った
普通の人たちにずいぶん感動しているようでした。
宿泊した国民宿舎の温泉の温度が絶妙で、絶妙という言葉はこの温泉のためにあるのだと思いました。

10月14日(日)「東北宮城復興マラソン」

主催の岡田さんが朝5時50分に国民宿舎まで迎えに来てくれて、鳥取空港まで車で送ってくれました。 
7時5分の飛行機で羽田まで。横浜の家にギターなど荷物を置きに帰ってすぐまた新幹線で仙台に。 
東京からやって来て東北宮城復興マラソンを走る津山くんとマサを応援するためです。 
ユミも昨日から仙台入りして、マサと晩御飯を食べたりしたそうです。 
(去年は津山くんとマサとともにぼくやユミや仙台の友達も走りました。)
  
津山くんが仙台空港近くの40キロ地点を通る時刻にぼくもやっとそこに到着したのに見逃してしまい、 
ゴールで待機していたユミに電話したら、走ったらまだ追いつけるからコースに出て走れ、という指示。
小さなリュックサックを背負って普段着のまま2キロ走ったところで追いついて、そのまま二人で
ゴールしました。ゼッケンのないぼくはゴールしたとたん係員に退場を命じられましたが。
マサはその1時間後に、6時間という制限時間ぎりぎりでゴール。メダルをもらえてよかった。
 
鳥取で早起きしたおかげで完走した二人を見届けることができました。
ランナーの間では有名人のマイケル・ジャクソンの仮装の人は、ゴールを前にしてもなかなかゴールせず、
最後はムーンウォークで後ろ向きにゴールしていました。
2011年の津波で被災した土地を走るマラソンが終了した直後、遮るもののない空に大きな大きな虹がかかりました。
走るために全国からやって来た人たちと、これからもこの土地で生きる人たちの両方を祝福するかのように。

10月17日(水)「北国の帝王」 

喫茶店「ホルン」の閉店後に、内輪だけの映画の上映会。
今夜は渋谷さんのお勧めの「北国の帝王」でした。 
リー・マーヴィン主演の、ホーボー(無銭旅行者)たちが貨物列車にただ乗りして
移動していた1930年代のアメリカの話です。
ただ乗りをするホーボーを11人も殺したという鬼の車掌の乗るナンバー19という貨物列車に
挑む親子ほども年の離れた二人の男たち。手に汗を握るとはこのことで、2時間なんて
あっという間。ユミはリー・マーヴィンのカッコよさにしびれて、最後は感動してちょっと
涙ぐんでいました。

10月19日(金)「句会」

普段は「火星の庭」でやる句会を、仙台の我が家でやりました。 
今夜はメンバーの11人(ほぼ全員)が集まって椅子が足らないので、何人かは畳の部屋に 
座ってやりました。 
主宰の渡辺誠一郎さんはてきぱきと一人一人の句を批評していきます。なるほどと感心しても 
自分の句には生かせないぼくらです。

10月21日(日)「泉ヶ岳」

火星の庭句会のメンバー5人で、仙台市の泉区にある標高1170メートルの山に登りました。
四つあるコースの一番初心者向けのコースを選んだにもかかわらず、後半の岩だらけの道と急な
上り坂は予想以上に大変でした。
子供連れの家族やランニングチームまでいて、ぼくらが不慣れなだけのことかもしれませんが。
山頂からの眺めは別世界、仙台市が手の平に載るように遠く小さく見えました。その向こうに 
広がる太平洋の大きなこと。とても天候に恵まれた登山でした。
麓のリフトに乗るために戻りは別のコースを選んだのですが、岩の多い急激な下りにはみんな
ほとほと疲れ果てました。特にユミは下山が危ぶまれるほど大変そうでした。
前野さんが電話をしたら、運転終了時刻を少し遅らせて待っていてくれたリフトの係りの人たち。
リフトから降りて自分の足が地面に着いたとき、振り返って見上げた山頂からふわりと
着地できたような気分でした。

10月23日(火)「ゾンからのメッセージ」

yumboの渋谷浩次さんが音楽をやった映画「ゾンからのメッセージ」を横浜のシネマリンに
ユミと見に行きました。監督の鈴木卓爾さんともちょっと知り合いなので。
ゾンという何か得体のしれないものに遮られて外の世界を失った小さな町の人たちの話。
ゾンとは何なのかぼくには最後までわからなかったのですが、売店で買ったパンフレットによると
監督の鈴木さんにもわからないそうで、答えを映画に依存してはいけないんだと思いました。
ストーリーには遊びみたいなところもありましたが、俳優の演技が自然でところどころのセリフ
にも関心したりしました。気になるシーンがいくつもあって、何回も見たという人の気持ちが
よくわかります。

10月25日(木)「代田橋 Chubby」

おおはた雄一くんのマンスリーライブにゲストとして今年も呼ばれました。 
Chubbyは壁は絵画に、空間は音楽に、そしてテーブルは食事に使われる自由な感じのお店。
去年と同じように今年もそれぞれの時間をきっちりとは分けない構成で、 
おおはたくんがソロでやったりぼくがソロでやったり、それぞれの歌を二人でセッション
したりという感じでした。 
おおはたくんはセッションでもあまり前に出てこないタイプの音楽家で、彼のような 
ギターの音色で演奏をする人はぼくのまわりではとてもめずらしい。 
自然にぼくも調和を楽しめる演奏ができたと思います。 
来月の京都でもまた一緒なので、とても楽しみです。 

10月27日(土)「ウシオチョコラトル4周年記念ライブ」

尾道の向島にあるチョコレート屋さんの4周年を記念するイベントがあって参加しました。 
場所は浄泉寺というお寺で、境内では食べ物や衣類、雑貨などのマルシェ、本堂では 
コンサートが開かれました。 
何組かの若い人たちの演奏の後に元たまの石川浩司くんがソロで演奏。 
ぼくは石川くんのソロは初めて聞いたんじゃないかなあ。詩の朗読会には来てもらった 
ことがあったけど。改めて石川くんの歌の世界はスケールがでかいと思いました。 
ぼくは石川くんの後に歌い、最後にみんなで「6月の雨の夜、チルチルミチルは」を 
歌っておしまい。 
ウシオチョコラトルという言葉は、チョコレートの発祥の地のマヤ語なのだと 
代表の中村さんが最後にあいさつで教えてくれました。 
コンサートの前に30分ぐらい街を一人で歩いたのですが、迷い込んだら 
そのまま住んでしまいそうな路地がたくさんあって、尾道はおもしろい街です。

10月30日(火)「3KINGS」 

渋谷B.Y.G.にて3 KINGSの1st album発売記念ライブ。 
9月30日に予定していたライブが台風の影響で中止になり、今夜はその振替公演でした。 
9月のチケットを払い戻ししなかった人がどれだけ来てくれるか少し心配でしたが、 
スタッフが会場内に入れないくらいたくさんの人が来てくれました。 
ちょうどハロウィン前夜の渋谷のライブで、鮎川くんの娘たちが衣装を用意していたので、 
ステージには三人とも仮装で登場、3 KINGSではなく3 DEADSです。 
ぼくは1曲目の「Like A Rolling Stone」の4番の歌詞を勘違いして歌ってしまったけど、 
その後の演奏は全体にとてもいい感じだったと思います。 
最近亡くなったTony Joe Whiteの曲も三宅くんの日本語で3人で演奏しました。 
いろんなカバー曲をすぐに演奏できるのも3 KINGSのすぐれたところです。 
今年の8月に出たばかりの1st album、完売も間近です。
  
さてぼくは11月1日からしばらくニューヨークに出かけてきます。
毎年恒例のニューヨークシティマラソンに出たり、街をブラブラしてきます。

11月2日(金)「マラソンEXPO」 

昨日の朝ニューヨークに着きました。去年も泊まったアッパーウエストのホテルです。
今日はEXPO会場にナンバーカードを取りに行きました。ニューヨークシティマラソンを31回走っている 
日本人のマコシさんの大きな写真が会場のあちこちにあってびっくり。30回記念でうれしい時の写真らしいです。
ユミとEXPOで買い物をしてからホテルに戻りました。

11月4日「ニューヨークシティマラソン」

ぼくは16回目のニューヨークシティマラソン。ナンバーカードの片隅に小さく15+と書いてあって、 
15回以上ニューヨークで完走した人の印です。 
スタートまでの長時間、普段は吹きっさらしの海風を浴びながら寒い外で待たなくてはならないのに、 
15+の人には暖かい体育館が用意されていました。過去47回の歴史の中で15回以上完走した人は 
150人超だそうです。今朝は6℃ぐらいと寒かったので屋内で待つことができてうれしかった。 
 
スタートからハーフまでは飛ばしました。ハーフを過ぎてクイーズボローブリッジの長い登りで 
足がつって失速。26キロ地点にユミが待っていてアミノバイタルゼリーを渡してくれました。 
後半は足の疲労を気にしながらのゴール。ゴール前のセントラルパークではいつもの友達も 
みんなで応援してくれました。記録は去年より遅く、3時間36分でした。 
でもレースが終了するのが惜しいと感じておかしな気分。たぶんハイになっていたのでしょう。
  
応援のユミとランナーのぼくは時差ボケの影響もあって、ホテルに戻ったら約束していた友人の家での 
アフターパーティにも行かずにぐっすり眠ってしまいました。 

11月5日(月)「メダル」

今日は毎年恒例の、完走メダルにタイムを刻印してもらいにセントラルパークへ。 
夜は昨日走ったカクと応援してくれたシゲミさんの家に行って晩御飯をごちそうになりました。 
ぼくはアメリカのamazonでCDなどを注文するときに彼らの家の住所を借りて購入しているので、 
その荷物を受け取りました。発売されたばかりのボブ・ディランのブートレッグシリーズや 
アメリカンフォークミュージックアンソロジーなど重たいものも多く、帰りの荷物が・・。

11月6日(火)「ヨシとマドレン」

ニューヨークの友人夫妻、ヨシとマドレンを訪ねました。 
沖縄出身のヨシが80歳を記念して東京から沖縄まで一人で徒歩旅行の最中に、ニューヨークにいた 
マドレンの体調が急に悪くなり、ヨシが計画を中断して熊本から急きょニューヨークに戻ったので、 
二人に会いに行ったのです。 
元気なときには豪快に笑うマドレンですが、体調不良で二人の家の中は静かでした。 
東京から熊本までの2か月間のヨシの旅の話などを聞きながら、2時間ぐらい過ごしました。 
ヨシがアメリカ横断単身自転車旅行をしたときの青空の写真をバックに、ユミのカメラで 
4人で記念撮影をしました。 

11月7日(水)「Bokov」

今日はロワーイーストサイドにあるギャラリーに友だちと吉田省念くんのお父さんの 
ヨシダミノルさんの個展を見に行ったのですが、ギャラリーは月曜日から水曜日は 
お休みでアウト。 
でもたまたま入ったその近くのギャラリーで、ウクライナ出身のアーティストのボコフに 
20年以上ぶりで会えたのです。もしもお目当てだったギャラリーが閉まって 
いなかったらボコフには会えなかったので、まるで神様のいたずらみたい。 
もちろんボコフはぼくたちのことなど覚えているわけはなく、CBGBでのアーティストの 
パーティで彼がぼくとユミの似顔絵を描いてくれたことなどを説明しました。 
ニューヨークの路上で見つけた自動車の部品など捨てられたものを再利用して絵を 
描いてきたボコフですが、彼の作品をギャラリーで見るのは初めてでした。 
彼のことはぼくのエッセイ集「ニューヨークの半熟卵」に書いたことがあります。 

11月8日(木)「メフィストフェレ」

イタリアのアッリーゴ・ボイートのオペラ「メフィストフェレ」をユミと見に行きました。 
昼間セントラルパークを二人で走ったときから気温が低く、夜になると手袋とマフラーが 
必要な寒さ。 
ゲーテの有名な「ファウスト」を元にしたオペラだそうですが、ストーリーは単純。 
ただ音楽は美しく、特にプロローグはため息が出るほどでした。 
オペラファンは杖をついた老人が多く、急な階段を上り下りするのは本当に大変そう。 
時間とお金をかけたメトロポリタンオペラの作品は、毎年高額な寄付をする金持ちだけ 
ではなく、こういうお年寄りたちの杖にも支えられているのです。
  
メトロポリタンオペラからホテルまでの帰り道、 
ブロードウェイ沿いにはワンブロックごとにLink NYCのバス停のような形をした 
タッチパネルが並んでいます。これは元々公衆電話があったところに作られたたもので、 
free wifiやスマートフォンの充電、それから短い時間なら無料で通話もできる設備です。 
いずれはニューヨーク市全域に建てられる計画だそうで、旅行者にとってはとても便利。 
残念ながら日本では公衆電話をただ撤去するだけで、その後に何も作りません。 

11月9日(金)「ヨシダミノル展」

2時ごろから降り始めた雨に誘われて、先日閉まっていたロワーイーストのギャラリー 
「Ulterior」にヨシダミノルの作品を見に行きました。雨の日は美術展が最適です。 
70年代のニューヨークでのパフォーマンス作品が三つ、ビデオスクリーンで見ることができます。 
自作のシンセサイザー・ベストを着てお経のような言葉を真夜中の路上で叫ぶヨシダミノル、 
自作のシンセサイザーベストがアートなのか、真夜中の路上のパフォーマンスなのかぼくには 
定かではありません。ただ孤独に外国の路上で何かを表現しようとしている日本人の姿に 
得体のしれない魅力を感じました。彼の表現はダンスでもあり音楽でもあり、アートとは何かを 
つきつめようとしている行者のようでもありました。
  
帰り道、MoMAに寄りブルース・ナイマンの回顧展を見ました。ぼくには理解しがたいものを 
たくさん持っているアーティストで、改めてその理解しがたさを確かめに行ったようなものでした。 
アーティストの発想そのものが、理解しがたいものであるからには、作品も理解しがたいもので 
なくてはならないはずです。 
ヨシダミノルさんもその理解しがたさを道筋にして、何かを掴もうとしていたように思えます。 

11月10日(土)「なんとなくポストマラソンパーティ」

カクとシゲミさんの家で、今年のマラソンの応援に集まった友だち家族と、 
ポストマラソンパーティをしました。 
近所の子供たちもお泊まりで遊びに来ていて家の中は大変な騒ぎ。 
大人たちもエレキギターをアンプで弾き始め、下の階の住人が怒鳴り込んできました。 
 
長年過ごしたアッパーウエストサイドがぼくとユミにとってのニューヨークなので、 
今回の滞在もこのあたりをうろうろして終わりました。fairwayやzabar'sで買い物をしたり、 
セントラルパークを走って戻ってくると、ユミは3年前まで住んでいた建物の方に今でも 
歩いて行きそうになってます。
 
ぼくたちは12日の午後の便で日本に戻ります。

11月15日(木)「広田稔展」 

横浜のギャラリーARKに、広田稔さんの個展を見に行きました。 
広田さんはぼくたちのアパートのすぐ下の階に住んでいるのに、お互い忙しく、 
なかなか普段は会いません。 
でもこんな風に、本人よりも先に作品と会ってしまうのもいいなと思います。 
今回の作品は若い女性と猫か鳥に絵柄が統一されていて、「雪の日」か「雨の日」という 
タイトルが付けられていました。せっかく絵と親密な気持ちになっていると、そこに 
広田さん本人が現れて、結局終わりまでいて三人で同じアパートに帰りました。 
なんとなくぼくとユミは幼稚園に子供を迎えに来た両親のよう。 

11月18日(日)「きたかまフェス2018」 

北鎌倉のお寺の中の二つの会場で、今年で三回目だという「きたかまフェス2018」がありました。 
土曜日と日曜日の二日間のイベントでしたが、ぼくが歌ったのは日曜日。 
禅と音楽の合体ってどんなかな、と何の知識もないまま初めて参加した手作りの祭でしたが、 
時代をさかのぼるような古いお寺での新しい出会いが生まれるようなコンサートでした。 
ぼくの45分という演奏時間はとても濃厚だったような気がします。多分にそれはお寺の影響だった 
かもしれません。
  
演奏後は鎌倉駅のレストランで、今日の出演者だった七尾旅人くんらとピザやパスタを食べました。 
毎年ぼくがライブをしているmolnの綾さんもあとから合流して、「草とTen Shoes」という 
綾さんたちのバンドの完成したばかりというCDをもらいました。ぼくの「私の踊り子」を 
カバーしてくれています。

11月21日(水)「ユミの誕生日とミリキタニ」

誕生日は20日でしたが、下の階に住む広田さん夫婦と4人で今日ユミの誕生日を祝いました。 
広田さんが買って来たシャンパンや、誕生日に飲もうと買っていた高めのワインを飲みながら、 
映画「ミリキタニの猫」をDVDで見ました。 
来年、新宿の京王プラザホテルのギャラリーでミリキタニさんトリビュートの展覧会があって、 
広田さんも出展する予定なのでその予習として。もしかしたらぼくも何か出すかもしれません。

11月23日(金)豊橋「ハウスオブクレージー」

「ハウスオブクレージー」は地下で窓もなく、なんとなくスピーカーの中で生演奏しているみたいです。 
お客さんもたぶん歌をスピーカーの中で聞いているような気分がするのかな。 
ユミが言うには、ギターがいい音だったそうです。もう少したくさんギターを聞かせられる演奏を 
したいものです。 
オーナーの松崎さんは毎年4月にニューオーリンズのジャズフェスに行っていて、来年は50周年なので 
ぜひ行きましょうと誘われました。

11月24日(土)京都「シネマチック・サルーン」

おおはた雄一くんが毎月やっているライブにゲストで呼ばれました。ゲストは少しだけ歌うのが 
普通ですが、おおはたくんとセッションすると、どうしてもぼくの曲が多くなってしまいます。 
ぼくがおおはたくんの曲に参加したのは「てのひらブルース」と「火のそばに」の2曲。 
おおはたくんは最近はガットギターが多かったそうですが今回はエレキギターで、それはぼくとの 
セッションを考えてのことだと思いました。 
「シネマチック・サルーン」のステージは広いカウンターの中にあって、演奏しているとお店の人が 
目の前を横切るのですが、暗くしているのであまり気になりません。めずらしい感じでおもしろい。 
斬新な空間デザインで、どこか外国にいるような感じがしました。

11月25日(日)「京都」

おおはたくんは午前中の新幹線で帰りましたが、ぼくとユミの帰りのチケットは夜だったので、 
ホテルに荷物を預け、京都でぶらぶらすることができました。 
まず昨日のライブ中にぼくが倒して糸巻を壊してしまったギターを修理してもらうために、 
甲府の坂田くん(ギターの制作者)にヤマト便で送りました。日曜日なので三条のヤマトの営業所 
まで持って行きました。 
それから歩いて先斗町の「おめん」に。祇園も四条大橋も歩けないくらいの人の多さです。 
昨日のライブに夫婦で来てくれた加地さんの「100000t」にも行きました。ユミは本やCDを買い、 
ぼくはLPレコードを何枚か買いました。それから加地さんの教えてくれた「HiFi Cafe」で一休み。 
ここにもレコードや本がたくさんありました。ホホホ座の山下くんにも電話をしたけれど、 
仕事で神戸に行っていて、今日は会えませんでした。 
そうこうしているうちに夜になり、8時頃の新幹線で帰ったわけですが、京都は行くところが 
たくさんあって、なかなか一日では回れないなあと思いました。

12月1日(土)「森山直太朗」 

神奈川県民ホールでの森山直太朗のコンサートで、飛び入りで直太朗くんの歌を2曲一緒に 
歌いました。本編2部一曲目の「出世しちゃったみたいだね」はアルバム「822」で 
ぼくはコーラスで参加していて、それをライブでできたのがうれしかった。 
アンコールの「どこもかしこも駐車場」は大好きな歌だったので、これも一緒にできて良かった。 
良い気分のせいで譜割りをだいぶ自分流にしてしまったみたいです。 
 
今回のコンサートは前半がじっくりと聞かせる感じで、後半はレーザー光線もふんだんに使って 
和気あいあいと盛り上がる感じ。ぼくは割とリズムがパンパンとあるのが好きで、一部なら 
芝居の中で生まれたという「糧」や、二部の直太朗くんらしくないような「すぐそこにnew days」、 
それから「さよならさよならさよなら」が良かった。 
楽しそうなのに巧みなバンドは一緒にツアーをしてきた家族みたいで、そのままついて行きたく 
なったけど、ぼくにも明日は別の予定があり、残念ながら今日一日だけの森山直太朗横浜公演でした。 

12月2日(日)「武川雅寛ソロライブ」

昨日の直太朗くんのライブの余韻を残したまま、今日はユミと仙台に移動。前々から行くと決めていた 
ムーンライダーズの武川雅寛さんのソロをピーターパンというカフェで聞きました。 
武川くんは「a journey of 28 days」という7年ぶりのアルバムを出してツアーをしています。 
アルバムタイトルは2015年の夏に大動脈解離で倒れ、28日間意識不明の夢の中だったことからきています。 
その年の10月に退院をして、最初にライブをしたのが12月のぼくのスターパインズカフェでした。 
後遺症で声がかすれてしまうのですが、それを逆手にとったようにハスキーな声で歌います。 
曲目も新曲ばかりではなく、ムーンライダーズのレパートリーも何曲かあって、ソロとはいえ 
いろいろなタイプを楽しむことができました。
  
武川くんたちとの打ち上げの後は、そのすぐ近くのお店で今夜ライブをしたおおはた雄一くんに 
会いに行って、結局2時半ぐらいまでそのお店でおおはたくんと飲みました。 

12月3日(月)「句会」

11月の句会をぼくの都合で延期してもらって、今日仙台のぼくの家でやりました。 
火星の庭句会のメンバー12人が集まったのでほぼ全員です。持ち寄った酒瓶の数もすごかった。 
食べ物や飲み物ばかりではなく、それぞれの表情やニュースも持ち寄りで、 
句会は俳句以外にもおもしろさがあります。

12月5日(水)「映画会」

仙台の「ホルン」で、ぼくたちの間では恒例化してきたビデオの上映会がありました。 
今回はユミの用意した「帰郷」と渋谷さんの「Frances Ha」を見ました。 
「帰郷」はベトナム戦争当時のアメリカ人のことがドキュメンタリーのように迫ってきました。 
「Frances Ha」はダンスも暮らしもままならない女性がブルックリンにアパートが借りられて 
ようやく先が見えてくるまでの話。すごく生き生きとしたニューヨークの女の子のお話でした。

12月7日(金)「 横浜サムズアップ」

3KINGSの横浜ライブ。全曲3人でやりました。 
鮎川くんはメンバー紹介やライブアルバムの紹介がとても上手です。みんなが楽しい気分になるし、 
CDだって買って帰りたくなる。だれもができることではありません。 
10月30日のBYG以来のライブで、今夜はとても新鮮でした。 
3KINGSのライブは毎回ライブ盤が作れそうです。 

12月8日(土)「甲府 桜座」

桜座は入り口がカフェになっていたりして、昔の芝居小屋の雰囲気が残っています。 
三宅くんからの提案で、今日はジョン・レノンの「オー・マイ・ラブ」(日本語訳・下村誠)と、先日 
亡くなった片山広明さんをしのんでMojo Clubの「びんぼーワルツ」をレパートリーに加えました。 
ユミは胸がいっぱいになってしまってこの曲のあとロビーに出たそうです。 
大勢の人(満員でした)が聞きに来てくれた桜座は、終演後もずっと人の体温に包まれていました。

12月9日(日)「ライブペインティング」

打ち上げ後みんなは車で帰ったけれど、ぼくとユミは車がないので甲府のホテルに泊まりました。 
昨日の主催者の馬場さん夫妻に誘われ、富士川町の昌福寺にミロコマチコさんのライブペインティングを 
見に行きました。 
ライブペインティングは約1時間半、その間にいくつもの動物が描かれては消されて行きました。 
最後に残ったのは一匹の大きな動物、象や人間や鹿や狼や猫やワニなどが、名前のない生き物に 
なりました。
終演後に全身絵具だらけのミロコさんと記念写真を撮りました。 
どんどん変化していく絵は音楽のようで、今日描いた絵を残すことは考えていないそうです。
  
昌福寺からまた甲府に戻り、みんなでハーパーズミルでカレーを食べて、店主の坂田くんや 
真澄ちゃんともゆっくりしました。 
坂田くんはぼくのソロライブでいつも弾いているサカタギターの製作者でもあります。 
この間京都のライブでギターが倒れてペグが割れてしまったときもすぐに修理してくれました。 

12月15日(土)「大阪市 ムジカジャポニカ」

今年の夏前に移転したムジカジャポニカで初めてのライブをしました。 
場所が移動したというより、店の雰囲気がまるごと移転した感じ。 
だからときどき前の店にいるような感じがします。 
ライブが終わって後ろにサインをしに行くと、ふちがみとふなとの二人が 
いました。近くでライブをした後に来てくれたそうです。 
「ブルース」を歌うときに彼らがいたら、ステージに呼んで一緒にやったかも。 
ふちがみさんたちは終電で京都に帰り、ぼくたちも歩いてホテルに帰りました。 
ふちがみさんもユミも一つずつ、ムジカジャポニカに忘れ物をして。 

12月16日(日)「浜松市 エスケリータ68」

エスケリータは浜松駅からかなり離れた場所にあります。 
毎回中村さんに駅前のホテルまで車で迎えに来てもらうのですが、今日は中古レコード屋に 
寄り道をしました。みんな中古レコード屋が好きです。 
ライブの前にエスケリータ特製のベーグルサンドを食べました。 
ベーグルもエスケリータで作っているのですが、前に食べたときよりも数段進化していて、 
おいしいのでライブの後にもまた別の種類のベーグルサンドを食べました。 
ツアーをしていると結局パンばかりを食べているぼくたちです。 
たぶん和食の店よりもパン食の店の方が増えてしまったのですね。パンでいっぱいの日本です。
 
中村さんはポータブルのレコードプレーヤーを持参して、終演後に古いシングル盤をいくつか 
聞かせてくれました。 
武田久美子のLPもあって、ずっと前に井上陽水とふたりで作った「半分ピエロ」をものすごく 
久しぶりに聞きました。

12月18日(火)「句会」

昨日浜松から横浜に戻り、ツアーの荷物を置いてからすぐに仙台までやって来ました。 
新幹線の乗り継ぎをした感じです。 
今日は仙台のぼくの家で句会がありました。 
メンバーのほとんど全員(12人)が集まり、モエ・ド・シャンドンで乾杯。 
納会と12月生まれの人たちの誕生日のお祝いを兼ねた句会だったので、大きなクリスマスケーキが 
準備され、いつもより持ち寄りの食べ物もなんか豪華で、みんなずっと飲んで食べていました。 
2週間前の前回の句会の余韻がまだ頭の中にあるからか、みんないい句ばかりだったみたいで、 
主宰の渡辺さんは12句も選んでいました。 
みんなが帰った後、ぼくとユミは英語や俳句の話をしながら、3時頃までワインを飲んでしまった。 

12月20日(木)「ボヘミアン・ラプソディ」

先日の大阪ムジカジャポニカの夜、ほかのライブの後に立ち寄ってくれたふちがみとふなとの船戸くん 
からいきなり「ボヘミアン・ラプソディ」見ましたかと言われ、何のことかあまりわからないまま、 
見に行かなくてはならないような気分になっていました。 
仙台パルコパート2のTOHOシネマズが今日までだったのでユミと見にいくことにしました。 
どんなセリフだったか忘れましたが、フレディ・マーキュリーが「自分の人生は自分で作り上げる」 
みたいなことを言うシーンが良かった。 
ものすごく強い意志で生きた人なんだと感心しました。なかなかできないことです。 
映画を見た後クイーンのレコードをとても聞きたくなったけど、一枚も持っていないので、代わりに 
映画にも出て来たボブ・ゲルドフのブームタウンラッツのレコードを30年ぶりぐらいに聞きました。

12月21日(金)「青野文昭展」

今日はユミとたくさん歩きました。最寄り駅のない原町のホームセンターを徒歩で仙台駅前から往復して、 
その足で今度は広瀬川の近くのターンアラウンドというギャラリーに行ったり。 
この「青野文昭展」は行って良かった。 
拾った片方だけの靴に木で彫った素朴な人体を着け足したり、拾ったレシートを壁に埋め込んでみたり。 
世界中行く先々でこのような行為をしているというので、それが見たくなってDVDも買いました。 
断片の全体像を空想で補うような絵と立体作品でした。
  
遠回りでしたが、ホルンにも寄りました。日曜日と月曜日のyumboの20周年記念ライブ用に制作された 
冊子「yumbon」を受け取りにいくために。ぼくも短文を寄せています。
  
そのまま帰り道に仙台駅前のbuddy buddyに寄り道。ニューオーリンズスタイルのお店です。 
マネージャーの間瀬くんもいて、胃にふたがしまらないくらい飲んだり食べたりしました。 

12月22日(土)「ヒスロム/仮設するヒト」 

せんだいメディアテークに、ヒスロムの展覧会を見に行きました。 
6時ごろユミと会場に着いたら、今日は7時からパフォーマンスがありますよ、と受付の女性に言われた。 
ヒスロムのことは何も知らなかったので、そう言われても興味がわかなかったんだけど、展示されている作品や 
ビデオ作品を見ているうちにとても見たくなってきた。 
実際この3人の行動や顔を見なければ、展覧会を実感したことにはならなかったかもしれません。 
どこからか拾ってきた20メートルぐらいある蛇腹の管を3人が順番に潜り抜けて反対側の口から出てくる。 
潜り抜けるのは結構大変そうでしたが、見ていてもとてもおかしい。観客はみんな笑って見ていました。 
もう一つはちょっと説明がむずかしい。よくしなる板の上で乱暴にはねる人と、板の下に横たわって 
その振動や音にひたすら耐える人。ちょっと危ないなあと思いながらも楽しんでしまった。 
小学校のとき、夜の山の中を友だちと探検したことをぼくは思い出しました。ヒスロムは探検隊に似ています。

12月25日(火)水道橋「Nuisance Gallery」

麦マル3とも呼ばれているギャラリー兼バーで久しぶりにライブをしました。 
狭いのでお客さんは1Fの入り口でコートなどを袋に入れて預けなければなりません。 
たくさんのビニール袋がつまった棚を見て、ランナーたちの荷物をゴール地点まで運ぶ 
UPSのトラックを思い出しました。(これはニューヨークシティマラソンの話。) 
椅子の数が足らなくて、座れるものなら何でも総動員の客席でした。立っている人たちは 
結局最後まで立っていたみたいです。でもきっと立っている方が楽だと思った人も 
いたでしょう。開演前からもうすでに酔っぱらっていた店主の早苗ちゃんは、ライブ中に 
調子っぱずれのピアニカを吹き始め、ユミに没収されていました。
 さんざんぼくが歌った後に始まった忘年会で、麦マル関係者によるぼくの歌の演奏には 
感激しました。ボーカルの人はちゃんと3曲とも歌詞を覚えていて、ギターの人も 
譜面なんて見ていなかった。
 
楽しさにかまけていたら終電を逃してしまい、ぼくとユミは意を決して神保町から横浜まで 
タクシーで帰りました。
 
会場ではブラジル人の津久井イネスさんの個展の会期中で、イネスさんも最後までライブを
 聞いてくれました。描かれている女性はどれも本人にとても似ていました。 

12月31日(月)「サムズアップ、年越し」 

サムズアップの年越しライブスケジュールに東京Bobの名前を見つけ、 
今夜はどこにも出かけないつもりでいたけど、やはり行ってみることにしました。 
ギターの人と二人だけのアコースティックなセッション。 
相変わらずのボブ・ディランのような身のこなしと歌い方は物まねというよりはアートです。 
ライブの後は1Fのストーブスで、東京Bobやその仲間たちと朝の3時過ぎまで飲みました。